【Mrs. GREEN APPLE】ひとつの夢を達
成した瞬間が新しい始まりになる

L→R 藤澤涼架(Key)、山中綾華(Dr)、大森元貴(Vo&Gu)、若井滉斗(Gu)、髙野清宗(Ba)

結成2年、破格の若い才能がついにメジャーのステージへ。Mrs. GREEN APPLEのメジャーデビューミニアルバム『Variety』は、ポップに振り切った娯楽性とロックの激しい攻撃性を併せ持つ瑞々しい野心作。注目せよ!
取材:宮本英夫

最年少のふたりは、この春、無事に高校卒業ということで。

大森

(山中)綾華も専門学校を卒業したので、これで学生はいなくなりました。

若井

学生じゃなくなったので見られ方も変わるし、自分の考え方も変わるし。悩んでます。もう若くないというか…。

あはは。18歳で何を言う!

大森

若井は悩んでますけど(笑)、自分は嬉しいです。高校生だということを言われることが多かったんで、それがなくなることで逆に認めてもらえるきっかけになると思うので。その分、責任も大きくなるんだけど、好きなことだし、現時点では鎖が外れたような気持ちですね。

そんなタイミングでリリースされる今回のメジャーデビューミニアルバムですが、どんな作品に仕上がっていますか?

大森

今回は“楽しい”という言葉にどれだけ深く潜れるかを考えて作りました。僕の中では自主盤の『Introduction』で“無常観”を歌って、前作の『Progressive』では“対人関係”を歌って、今回の『Variety』で三部完結だと思ってるんですよ。だから、今回は楽しさというものをテーマにして、それをどれだけ濃密に歌えるかというコンセプトがありました。

1曲目「StaRt」は、まさにその象徴のような。

大森

これは今年に入って初めて書いた曲です。2015年に入った時の心境ですね。

藤澤

年明けすぐに、いきなり超元気な曲が送られてきたからびっくりしちゃいました。“すごいポップなもの送ってきたな”と。

大森

ポップなものは好きなので書いてはいたんですけど、ここまでいろんな楽器を入れたものは今までなかったですね。ティンパニロールから始まって、ヴァイオリンが入って、ハープシコードが入ってっていう。でも、ギターは歪んでるし、結構なロックサウンドなんで、僕の思ってるポップ感が最初は出なかったんですよ。リハーサルが大変でした。

ロックとポップのスリリングなせめぎ合いって、このバンドの大テーマだと思うんですよ。

大森

そうだと思います。表現したいことがやっと5人で共有できたのかなと思った曲です。ロックとポップを、うまい配分ですり合わせることができました。

全員に聞きますね。それぞれのお気に入り曲や印象的なエピソードは?

大森

若井はやっぱりあれじゃない?

若井

あの~、「ゼンマイ」はレコーディングの日に僕が38度の熱を出しちゃって、その分、普段は体験できない特別な感じで弾けた曲です(笑)。38度の熱でギターを弾いて、それを音源に残すことなんて、なかなかないじゃないですか。

38度の熱がこもったギター(笑)。これからそう思って聴くことにします(笑)。

山中

私も「ゼンマイ」を。1曲丸々コーラスをやっていて、ツインヴォーカルみたいな感じになってるので。今までやったことなかったんですけど。

大森

抵抗あったんですよ。男女ツインヴォーカルって他に結構いるし、表現の仕方も難しいので、『Progressive』では僕がコーラスも全部やったんです。そんなプライドみたいなものを外せるぐらい、綾華のコーラスが良かったんですよ。そこを注目して聴いてほしいです。

山中

可愛い声で歌ってくれって言われて、頑張りました。“その声はブサイクだからもっと可愛く!”って何度も言われながら(笑)。

大森

でも、可愛かったよ。最終的には。

山中

ほんと? じゃあ、うまく歌えました(笑)。

髙野

リハーサルで「リスキーゲーム」のアレンジを考えてる時が、僕は一番楽しかった。

山中

「リスキーゲーム」は結成時に作った曲で、何度かレコーディングしてるんですよ。ミセスを好きになってもらうきっかけとして、この曲にはお世話になってきたので。良いところを残しつつ新しい扉を開こうぜということで、アレンジにこだわりました。楽しかったね。

藤澤

僕は「L.P」。今までのミセスにない雰囲気が出せた曲だと思います。チキチキチキっていうドラムの打ち込みが入っているんですけど、それに綾華ががっちり合わせていて、そこに一番感心しました。

山中

嬉しい~。

ラスト曲「道徳と皿」は? 深い余韻の残る曲だなぁと。

大森

三部完結という話をしましたけど、1枚目の無常観、2枚目の対人関係、3枚目の娯楽を全部詰め込んだ曲にしようと思って、すごい苦労した曲です。“道徳と皿”というタイトルは、ジャケットのイメージともリンクしてるんですよ。宙に浮いてる果物は、人の道徳観、自分の人生観、人間の脆い部分を表現していて、いつ落ちてしまうか分からない危険がある。絶望があるから幸せがあるとか、寂しい感情があるから楽しい感情があるとか、そういうものをこの曲に落とし込んでます。三部完結して、次の作品への伏線にもなるような、謎めいた感じを出したいと思って作りました。

そして、いよいよメジャーデビューですね。今の気持ちは?

大森

結果を残すために変なプライドもなく、より多くの人に夢を与えられたらいいなと。武道館にも立ちたいし、紅白にも出たいし、そこに向かって突っ走りたいと思います。ミセスを始めた時から、“僕についてきてくれれば、絶対にメジャーデビューできるから信じてくれ”という話を各メンバーにして、やっと実現したので。ひとつの夢を達成した瞬間でもあるし、目標が終わった瞬間でもあるんだけど、ここが新しい始まりなので、それを身をもって伝えていきたいなと思います。楽しみたいですね。

『Variety』

  • 『Variety』
    UPCH-20396
    2015.07.08
    1700円

Mrs. GREEN APPLE

ミセス・グリーンアップル:2013年4月結成の5人組バンド。作詞、作曲、編曲の全てをヴォーカル&ギターの大森元貴が手掛けており、15年7月にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。18年4月に発表した3rdアルバム『ENSEMBLE』はオリコン初登場3位を記録。アルバムを提げてのワンマンツアーはファイナルの幕張メッセ国際展示場2デイズまで全公演即日完売。シングルと同時発売で最終公演の模様を収めたDVD&Blu-ray『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜』をリリースする。

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