【Hocori】噂のユニットが放つ初作品
踊りながら見えてくる風景とは?
L→R 桃野陽介、関根卓史
桃野陽介(MONOBRIGHT)と関根卓史(golf、SLEEPERS FILM)によるユニット“Hocori”が作り出したミニアルバム『Hocori』。エレクトロやディスコミュージック的なサウンドで彩りつつ、生々しい感情を描いた一枚となっている。
取材:田中 大
Hocoriはどういう経緯で始まったユニットなのでしょうか?
桃野
MONOBRIGHTでは初期衝動みたいなことを掲げて、童貞感とか、十代の頃のエモい気持ちとかを込めて活動していたんですけど、それと並行して、自分の年齢の等身大を歌いたいというのもあったんです。だから、もし出会いがあれば、バンドとはまた別のフィールドでやりたいなと思っていて。それで去年、知り合いを通じて関根さんと会って、意気投合して一緒にやることになったんです。
関根
知り合いの知り合いという感じだったので、自然な流れでしたね。僕自身もヴォーカリストが歌ってくれるものを自分のバンドとはまた別にやりたいというのがあったので。
桃野
“バンドとは違うもの”というのも、なんとなく頭の中にありました。かと言って、自分にダンスミュージックやクラブミュージックの知識があるかと言うと、そうでもなくて。だから、ちゃんと知っている人とやりたかったんですよね。
関根
そういう経緯で始まっているので、Hocoriの曲は4つ打ちを入れてロックをダンスミュージックに寄せたというよりも、ダンスミュージックから歌に寄った感じだと思います。
今ってEDMが流行っていますけど、あの弾けた感じとは違うのも味わい深かったです。イケイケではないから。
関根
そうですね(笑)。
桃野
“言いそうで言わない”みたいな焦らしの感じ(笑)。そこは結構、人間が出ちゃっているのかも。
やるせないムードも全体的に感じたのですが。
桃野
今年に入ってから黙々と曲を作っていて…僕は酪農の息子だから、もともとは自由奔放に牛と歌を歌う感じだったわけですけど、都会に来てそうなってしまったのかも(笑)。都会って何でも揃っているから何でもできるかと思いきや、自分から何か探さないと何も始まらない。そういう大変さは感じるんですよ。でも、思い悩みながらも作ったものには自信があって…っていうのが今の感じなんですよね。
やるせなさはありつつも、気持ち良く踊れる要素が満載なのが、このミニアルバムの独特な風味です。
関根
音に関しては縦だけじゃなくて、横にもノれるものというのは意識していましたね。多分、直線的なものよりも曲線的なものを好んでいるから、僕らの音楽はものの言い方も含めて曲線的で。全体の印象もそうなっているのかも。
「God Vibration」もそういう曲ですね。MVで外国人のおじさんがクネクネ踊っているのが最高でした。
関根
ああいう感じで踊ってほしいと思っています(笑)。自分の身体が音によって動いたことによるダンスというか。そういうのがいいなと。そういうのが音楽を楽しめる一番の方法だと思っていますので。誰も見ていないところで踊ったら、みんなああなるんじゃないですかね。
桃野
この曲、“本当に付き合ってるの?”っていうようなグレーの感じの、大人の恋愛を歌いたいというのもありました。
「Lonely Hearts Club」に関しては?
桃野
この曲もモヤモヤを抱えている感じだと思います。みんなどこか切なさを持って生きているんじゃないでしょうか。“Hocoriを聴いたら孤独を乗り越えられます”とか大げさなことを言いたいわけではなく、“こういう孤独もあるよ”って言うことでちょっと気持ちを緩和するというか。そういう市販の風邪薬みたいな感じの曲かもしれないですね。
関根
個々の曲に対しては、特に何かを狙ったわけではなく。ふたりでトラックに向き合って作っていったんですけど、わりと今の東京に住んでいる感覚で音や言葉が出てきたように思います。それが曲の感じにつながったんじゃないでしょうか。
確かに、東京っぽさがある一枚でもありますね。煌びやかな感じではなく、生活感のある東京のシティポップみたいな。
桃野
なるほど(笑)。周りからするとたいした悩みじゃないかもしれないけど、なんか考えちゃう…みたいな感じも出ているのかもしれないですね。
あと、Hocoriはビジュアル面がすごく魅力的なのもポイントだと思います。「Lonely Hearts Club」のMVも秀逸ですし。これ、平和なカップルの映像かと思いきや…
桃野
たまに出てくる僕(笑)。
関根
楔打つような感じで出てくるからね(笑)。
桃野
僕が出てこないとハッピーな映像なんですけど(笑)。ジャケットやMVはできる限り自分たち発信のものを作ることができました。そのことによって作品の説得力が増したと思います。
関根
ジャケット写真は夜中に思い立って、突然桃野くんを連れ出していろんな場所で撮ったんです。このネオン管を持って朝の5時まで歩き回りました。
桃野
最初はネオンの明かりを点けていたんですけど、最終的にはスイッチを入れていないという(笑)。
関根
光っていないほうがしっくりきたんです(笑)。
(笑)。CDショップでも目立つジャケットだと思います。今作はすでにリリースされていますが、ファンの反応は?
桃野
MONOBRIGHTの桃野だと気付かない人もいる反面、声で気付く人もいて。いろんな感想や意見がある感じがいいなと思っています。
Hocoriの今後の展開に関しては?
関根
自然発生的に始まったものなので、また作りたくなったら作るんだろうなと。
桃野
でも、結構コンセプトを決めて作った部分もあるんですよね。的を狙いつつも違う的に当たったり、面白い化学反応があったりもして。そうやって曲が集まったら、また出したいなと思っています。
アーティスト
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