【THE ORAL CIGARETTES】オーラルな
らではの攻め方を提示できたアルバム
L→R あきらかにあきら(Ba&Cho)、山中拓也(Vo&Gu)、鈴木重伸(Gu)、中西雅哉(Dr)
山中拓也(Vo&Gu)の声帯ポリープ摘出手術後初ライヴとなった『MASH FIGHT! Vol.4』翌日にインタビューを敢行。オーラルならではのファンクネス、妖艶なメロ、王道ロック…全てがバンドの底力を更新した新作『FIXTION』に漲る自信とプロセスを訊いた。
取材:石角友香
本作は山中さんのポリープの手術の前に作ったとか。
山中
そうなんです。待たせてるっていうのもあるし、ファンのみんなにポリープ手術から復活したタイミングで出せるものが欲しいっていう思いから“アルバムを出そう”って話になったので、手術前に録りました。
アルバムのテーマはどういうものだったのですか?
山中
2014年の12月にポリープが発覚して、なぜ切らずに活動続けたのか?ってところまで遡っちゃうんですけど…その時は“オーラル対お客さん”っていうより、“ロックシーンの中のオーラル対お客さん”っていう信頼関係だったんですよ。オーラルとお客さんの間に特別な信頼関係っていうのがまだ見出せてなかったんです。じゃあ、僕がポリープを切るって決断できるまでの要素って何だろう?って考えた時に、やっぱりオーラルを本当に求めてくれているっていう信頼感を自分たちの中でしっかり自覚できるぐらいまで頑張らないと、活動は止められないなって話になったんですね。で、2015年の4月にインディーズの頃からお客さんとずっと大事にしてた「エイミー」をシングルで出させてもらったんですけど、その時はプラスもマイナスもあって。“俺らのこと、分かってくれないならいいよ”っていう、なんかちょっと冷たい感覚だったんですけど。自分がそう思ってしまった人たちを突き放していくのは表現者として自分勝手だなと思って。僕らから距離を置いてしまったお客さんをもう1回戻そうっていうことで、夏にライヴ会場&配信限定シングルとして「カンタンナコト」って曲を出したんです。そこで“ライヴを観て、オーラルってバンドを品定めしてください”ってスタンスで夏フェスをやらせてもらって、すごいそこに手応えを感じたんですよ。その2曲で振り幅も提示できたんで、次出すシングルは何だろう?ってなった時に「狂乱 Hey Kids!!」って曲を出して。それがどっちのお客さんにも響いた曲だなって実感できたので、そのスタンスでちゃんとアルバムを出せたら、僕たちの2016年の動き方がクリアに見えてくる気がしましたね。
バンドの姿勢の打ち出し方が見えたと?
山中
やっぱり、2016年はもともとインディーズ時代にオーラルが売りにしてた攻撃性みたいなところを前面に押し出しつつ、でも他のバンドとは違う、オーラルなりの攻め方の提示はしようって。フェスとかライヴでただノレる、ただ盛り上がるだけの攻め方じゃなくて、ちゃんといろんな角度からお客さんが楽しめる攻め方をしようっていうのをコンセプトにして『FIXTION』ってアルバムが出来上がりました。
なるほど。制作期間中に“これは新しいぞ”っていう手応えがあった曲はありますか?
あきら
僕は「マナーモード」。拓也がヒップホップが好きだっていうので、そういう感じのことをやってみたいって言ってきたのも初めてやったし、それで他の3人も研究しました。“じゃあ、それを僕らが表すとどうなるんだろう?”っていうのを追求できた曲かなと思いますね。
山中
自分が昔から聴いてたヒップホップの精神的なものを出せるか?みたいなところに挑戦したかったんです。
ヒップホップの精神性で好きなところって?
山中
僕が聴いてたヒップホップのアーティストって、結構皮肉が混ざってたりだとか、自分を主張する中に、ファニーと恐ろしさとポップさを上手く兼ね合わせていたんですよ。その“ポップさ”と“怖さ”って、まったく真逆にいるものなのに、それを上手くドッキングして曲に入れ込むって、すごい世界観だなって僕は思ってて。それをなんとかこの「マナーモード」ではちゃんと入れ込みたかったし、聴いて感じてもらえたら嬉しいなって思って書きましたね。
鈴木さんはいかがですか?
鈴木
自分の中で挑戦したなっていうのは、7曲目の「通り過ぎた季節の空で」っていう曲です。多分普通に聴いたら、“どこに苦労したんだ?”みたいな、何の変哲もなくてすごくメロディーが効いてるいい曲なんですけど。僕はイントロのリフを作ったり、サビ裏で主旋律とはまた違う何かをギターで表現すること、今まで好きにやっていて。でも、この曲の制作の段階で、“この曲はメロディーをしっかり活かせることが大事やし、一体、自分はどのリズムでどの音を鳴らすのが正解なのか?”みたいになったんです。やっぱりギターで弾いちゃうと手癖が出ちゃったりして…そこからは、もうギターを放り出して、ピアノで作ってみたり(笑)。バンドじゃなくてオーケストラとかを聴いて、どういうふうに長い音符でサビに活かすのか?とか、いろいろ調べたり、そういうことをしてやっとこさできた曲なんです。
なるほど。中西さんはいかがでしたか?
中西
僕は10曲目の「Everything」。バンドとして今までない類の曲ができたので大きいなと思っていますね。やっぱりライヴとかフェスを締め括れるアンセム的なものを作りたいっていうのがあって。多分、バンドのスケールが見合わないと背伸びしてるように聴こえるし…それを自分たちの等身大で表現してかたちにできたのは、バンドとしての成長も表れてるなと思います。
さて、年始早々1月4日に、7月14日にZepp Diver City Tokyoで行なったワンマンライヴのリベンジがありますが、ここにかける思いはどうですか?
山中
当然、7月14日のリベンジライヴだから、あの日できなかったことをここでしっかりリベンジしたいっていうのもありますけど、それ以上のものを提示したいし、2016年、オーラルがどうやって進んでいくのかっていうのも見せられたらいいなと思いますね。
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