【ねこね、こねこね。】単にかわいい
だけじゃない“ねこポップ”の魅力

写真上より時計回り、むらまつえりか(Vo&Gu)、たけうちみやこ(Dr&Cho)、かみずるりょう(Gu&Cho)、てらかどだいすけ(Ba&Cho)

ねこね、こねこね。がファン待望の“ねこソング傑作集”をリリース。むらまつえりか(Vo&Gu)と、かみずるりょう(Gu&Cho)が語る“ねこソング”のできるまで。
取材:山口智男

前作ミニアルバム『たのしい、わくわく、する音楽。』(2015年6月17日発売)を聴けば、ねこね、こねこね。にとって猫を題材にした曲はレパートリーの一部分だと分かるのですが、今作のEP『ねこの気まぐれ』は“ねこソング傑作集”と言えるものになりましたね。

かみずる

今回のEPにマストで入れたかったものとしてリード曲の「けっこう毛だらけ猫灰だらけ」とライヴでやってるにもかかわらず、まだリリースしていない「ねこの気まぐれ」があったんです。なんだか猫だらけになっちゃいそうだし、それならいっそのこと、全曲“ねこソング”でもいいんじゃないかってところから、前作の「ねこは何でも知っている」の再録(気まぐれver.)と一番新しい「ねこのカーニバル」を加えた全4曲にしたら収まりもいいということになりました。バンド名からコンセプチュアルな“ねこバンド”なんじゃないかと思われることが多いんですけど、実は“ねこソング”ってそんなにリリースしていないんです。今回、これだけ“ねこソング”を入れちゃうと、それに応えるみたいに思われるかもしれないですけど…そこはあえてと言うか、逆の意味も込めていて。“ねこソング”推しはここまでにして、次につなげるための区切りとしてリリースすることにしました。

前作を聴いた時も思ったのですが、ゆるふわポップなイメージもある一方で、歌詞、演奏ともに爪や牙を隠し持っているようなところが猫っぽいですよ。演奏は思いのほか歪んでいるギターをはじめ、結構インパクトがありますし。

かみずる

僕はこのバンドを始める前は3ピースのインストバンドや、映像やインディー映画の音楽を作ったりしてたせいか、アレンジをする時にその名残が若干出てしまうみたいで(笑)。

むらまつ

私はもともとASIAN KUNG-FU GENERATIONやチャットモンチーが好きだったんですけど、今は何でも聴きます。コーネリアスとかポストロックとか、わりとそっちのほうが好きなんです。

やっぱりそうなんですね。その辺の匂いがしました(笑)。

かみずる

ライヴハウスで歌モノのバンドと共演する中で、他のバンドとは何かちょっと違う気がすると感じていて。ただ、それを打ち出そうとしてきたわけではないんです。曲を作るむらまつの中で聴こえてきた歌に寄り添うように音を付けた結果がそうなっただけなので。そこは本当に儲けものというか、幸せだなって思いますし。それは今回も変わってないんですけど、「ねこのカーニバル」は毛色が違うのかな? 今までにないポップさが出てきましたね。

「ねこの気まぐれ」は《ばいばい》という歌詞をはじめ、聴きながらちょっと寂しくなるようなところがありますね。

むらまつ

会えるか会えないか分からない野良猫のイメージなんです。歌詞を書いていると、どちらかと言うと、切ないほうに寄っていってしまうんですよ。

かみずる

感受性や想像力が豊かすぎるのか、彼女は何か物事を見た瞬間にそこで起きてること以外も感じてしまうみたいで。猫を飼って、“わ、かわいい”っていうのがその場で起こってることだと思うんですけど、彼女はそこで、“猫が来て嬉しい。でも、いつかは失ってしまうんだな”ってところまで考えてしまって、嬉しさと悲しさが入り混じってしまう…単にかわいいだけじゃない、僕らの曲の叙情性や哀愁はそんなところから来てるんじゃないかなって思います。

『ねこの気まぐれ』

  • 『ねこの気まぐれ』
    NBDL-0035
    2016.07.13
    1000円

ねこね、こねこね。

ネコネ、コネコネ。:2010年に学祭のためにコピーバンドとして結成し、年に一度ほどのペースで活動。13年、オリジナルバンドとして活動を始める。14年に大学の卒業記念として制作した初期作品をリマスタリングした『たのしい、わくわく、する音楽。』で15年6月17日に全国デビュー。

アーティスト