【宮野真守】役者として、ミュージシ
ャンとして、生きた証が詰まった2枚
同時発売
声優として出演するシリーズアニメの主題歌を、なんと2枚同時リリース! ともに作品と深くリンクしながらも彼自身の言葉で綴られた2作からは、アーティストとして目覚ましい勢いで覚醒しゆく、そのポテンシャルを強く感じられるだろう。
取材:清水素子
目指したのは、宮野真守らしいシンフォニックなロックサウンド
「テンペスト」に「The Birth」と、出演作の主題歌をシングルで2枚同時発売とは、すごいインパクトですね。
僕らの世代にはグッとくるワードなんですよね、“2枚同時発売”って。すごく有名なアーティストの方がやっていた印象が強くて、“2枚同時発売なんて、すげぇ!”みたいな(笑)。僕の場合は偶然、そのタイミングに恵まれただけなんですが、それを叶えようと尽力してくれた制作のみなさんと、協力してくれたクリエイターさんには、本当に感謝したいです。
どちらも深い意味合いを感じられるナンバーになっていますが、まずTVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター』の主題歌「テンペスト」のほうは、タイトルから察するにテーマは“嵐”?
その通りです。もう、タイトルから作っていきましたね! 今まで『うた☆プリ』の主題歌と言うと、作品の世界観だったり、アイドルたちの輝きだったりを象徴するような描き方をしてきたんですが、今回、アニメの原作者でもあるElements Gardenの上松範康さんと初の共作というかたちで楽曲を制作させていただき、よりアニメのストーリーを象徴するような曲にしたかったんです。というのも、アニメ制作の方からTVシリーズの第4期になる今作は、波乱の展開になるということをうかがって…どのようなことが巻き起こるのか?っていうのは、アニメを観ていただければ(笑)。その嵐によって登場人物たちが感情をかき乱されて、物語もうねりを見せるところを曲に落とし込もうと、“嵐”をテーマに宮野真守らしいシンフォニックなロックサウンドを目指しました。
上松さんと言えば、水樹奈々さんの楽曲に代表されるようなシンフォニックサウンドを得意とされる方ですからね。
そうなんです。ぜひ、シンフォニックなサウンドがやりたいって上松さんに伝えたところ、“じゃあ、ゼロから一緒に作ってみようか”という話になって、スタジオにこもって一緒にセッションをするところから始まったんです。音の取り方やメロディー、コード感の持って行き方、言葉のはめ方まで、お互いの趣向やこだわりを改めて確認し合いながら進めていけたので、すごく面白かったですね。結果、いわゆる上松節と言われるメロディーに、僕の好きなメロウなエッセンスが融合して、しっかり宮野真守節も埋め込んだ唯一無二のサウンドができたんじゃないかと。今だからこそできる僕らのチャレンジというものが、確実に入っていると思います。
最初はピアノとストリングスをフィーチャーした静かな曲かと思いきや、サビ前で急に激しくなるのが、まさに嵐!
そうなんですよ。曲の前半は、いわゆる嵐の前の静けさで、激しさだとか疾走感が重視されるアニメ主題歌のセオリーを覆そうっていう狙いも、実はあったんです。もしかしてバラードなの?って思わせるような入口から、どんどん心がかき乱されていって、アレンジも激しくなって、サビに入る瞬間にバーッ!と雨が降り出すイメージ。まさにMVがそういう映像になっていて、夏だったら気持ち良かったんでしょうけど、撮影が夏に入る前だったんで結構寒かったです(笑)。で、最後にどこまで高く昇っていくんだ!?ってくらい歌い上げるところが上松節。上松さんに“僕にできますか?”って訊いたくらいですから(笑)。でも、楽しく歌うことができました。
物語のうねりを楽曲の流れでも、サウンドでも、映像でも、歌でも表現していて、打ち出したいところが明確ですよね。
だから、新しいことにチャレンジしていても、テーマが明確なので、向かっていく方向にまったく迷いはなかったんですよ。歌詞も上松さんが示してくれたストーリーをもとに、僕が書いていくかたちで、僕のストレートな言葉と上松さんのポエティックできれいな言葉遣いが上手く融合したと思います。
“虹”だとか嵐の先を予感させるワードが入っているのも、ドラマチックな楽曲にぴったりですよね。
ありがとうございます。“虹”は内容的には実は物語を象徴している言葉でもあったりして、入れたかったんですよ。まだ詳しいことは言えないんですけど、しっかりアニメとともに聴いてもらえたら、ハッとするところがあるんじゃないかなと思います。ありがたいことに、『うた☆プリ』に対するみなさんの期待値もどんどん上がっていて。それに対する上松さんの気合いだったり想いも感じつつ、ここまで歩んでこれて良かったという想いの詰まった、ほんとに今だからこそできた作品なので、ぜひ聴いてほしいですね。
ちなみに、カップリングは今回2作とも海外のクリエイターチーム提供によるナンバーだとか。
はい。やっぱり1枚の作品として、表題曲とちゃんと対になるような曲にしたくて。そこで“LOVE”の方向性を、それぞれに違うベクトルでしっかりと打ち出していこうと思い至ったんです。「テンペスト」のほうは激しさもありつつ、意中の相手に向かって並居るライバルの中、自分をアピールしていくという『うた☆プリ』の世界観にもつながる「Sugar, Sugar」。自分をピュアにアピールしていく歌詞で、サウンドもオールディーズな雰囲気にEDM等を融合させるという、最近のトレンドを押さえたダンスナンバーになっています。もう、ノリノリで歌っていたら、ディレクションをしてくださった作詞のAmon Hayashiさんが“いいね! これ、マイケル・ジャクソンだね!”って上手くノせてくれて、すごく気持ち良く歌えました(笑)。
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導き出された答えは“宮野真守にしか歌えない組曲”アーティスト
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