【フジファブリック】フジファブリッ
クと山田孝之、奇跡のコラボレーショ
ン
L→R 金澤ダイスケ(Key)、山内総一郎(Vo&Gu)、山田孝之、加藤慎一(Ba)
テレビ東京、テレビ大阪他で放送中のドキュメンタリードラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』のオープニングテーマ「カンヌの休日feat. 山田孝之」がシングルとしてリリースされた。フジファブリックらしいロックナンバーは、主演の山田孝之の客演も話題だ。
取材:山口智男
「カンヌの休日 feat. 山田孝之」は、みなさんが楽しみながら作ったことが伝わる曲になりました。
山内
作る前に“フジファブリックの曲で言ったらどんなイメージですか?”って訊いたら、激しくて、速い曲が挙がってきたので、ロックンロールなんだけど、少し気持ち悪い…というか、引っ掛かるものがある曲なんだろうなと想像して、僕の家に3人で集まって作りました、みんなで宿題するみたいに(笑)。ドラマの第1話を観ながら、ギターでリフを弾いて“こんな感じどう?”って、それをダイちゃん(金澤ダイスケ)に判断してもらって。
加藤
ふたりがそれをやっている間に僕は歌詞を。今回、カンヌ映画祭の受賞作のタイトルを連ねてできないかというリクエストだったので、なんとなくタイトルを支離滅裂にならないギリギリでつなげたものを考えて…。
山内
そんなふうに楽しんで作ったので、ほんとあっと言う間に終わっちゃったんですよ。
金澤
あの集中力はすごかった。
加藤
昨年の12月に出したアルバム『STAND!!』のレコーディングが終わったばかりだったんで、レコーディング熱が残ってたんですよ。
金澤
エンジンが温まった状態で一気に作りましたね。
山田孝之さんがヴォーカルで参加することは、最初から決まっていたのですか?
山内
いえ。曲ができた時、ちゃんとドラマの一部になりたいと思ったんですよ。たまにこういうタイアップで、ドラマの内容と全然関係ない曲があるじゃないですか。でも、山田さんに歌ってもらえたら、ドラマのタイトルにも“山田孝之の”って入っているから、よりドラマの内容にも合ったものになるんじゃないかと思ってオファーさせてもらいました。歌声の馴染み具合がすごいですよね。
金澤
(山内と)声が似ているんですよ。
山内
山田さんの耳がいいんだと思います。2テイク目の時は、1テイク目の山田さんの癖が出た歌い方から、僕の歌い方の癖に少し寄せていたから。
金澤
さすがだよね。
山内さんはいつにも増して、ノリノリでギターを弾きまくっていますね。
山内
激しさを出すにはギターがガリガリ鳴っている感じが一番いいし、それがこの番組に合うんじゃないかと思いました。以前、同じテレビ東京のドラマ『モテキ』で使ってもらった「夜明けのBEAT」もそういう曲でしたしね。それっぽい曲を作ってくれって言われたわけじゃないんですけど、カンヌ映画祭の受賞作の中に『パルプ・フィクション』があって、《カンヌの素敵な映画祭》と歌ったあとにダ・ダダダ・ダって決めがあって、少しギターソロが入るんですけど、『パルプ・フィクション』と言えばディック・デイルの「ミザルー」だろうって、それのオマージュっぽいフレーズにして遊んでるんです。そういうことが好きなバンドなんですよ。
遊んでいると言えば、ファルフィッサ・オルガンのレトロな音色もいい味を出していますね。
金澤
それも同じ理由です(笑)。最初は普通のオルガンとかピアノとかでやってみたんですけど、ちょっと正面から行かない感じはやっぱりファルフィッサかなって、最終的にはモーグ・シンセサイザーも入れて、ギターのリフとユニゾンさせたんですけど…
山内
そしたら面白い感じになりましたね。『STAND!!』を作る時もライヴを意識したんですけど、この曲もライヴで盛り上がってほしいと思ったので、ライヴでやって楽しいアレンジ、自由にできるアレンジを考えました。全員が楽しいんですよ。ギターもギャッて弾けるし、キーボードもビャーって弾けるし、ベースもグルービーにできるし(笑)。
加藤
ベースは基本、メインのリフを弾いているだけで成り立つ曲なので、そのリフをたくさん聴いてほしいと思って、それ以外のことはほとんど弾いてませんけど(笑)。
カップリングの「Here」はバラードなのですが、バラードにありがちな王道のアレンジになっていないところがやっぱりフジファブリックらしいと思いました。この曲は山内さんがドラムを演奏しているそうですね。
山内
こういう曲で叩いたら気持ち良いだろうなって思ったんですよ(笑)。今、ドラムがいないし、いろいろな楽器ができたほうが得じゃないですか、バンドとして。その取っ掛かりとしてやってみました。『STAND!!』以降、バンドの編成からアレンジを考えるようになったんですよ。ダビングできるからって無闇やたらにダビングするのをやめたんです。加藤さんはベース、僕はギターと歌、ダイちゃんはシンセでいろいろできるけど、でも、この曲ではほわっとしている音響系みたいなことをやるという括りを、自分たちで作ったほうがシンプルに考えられる。最初はストリングスをドカンと入れようかなと思ったんですけど、いかにも“ほら、素敵でしょ”みたいな曲はどうなのかなって。でも、曲に表情を付けるという意味ではベースの役割が大きかったですね。
加藤
ドラムがシンプルなんで、そこに寄り添うようにいい感じのルートのフレーズを乗せたいと考えました。
山内
ドラムがほんと、ドンターン・ドンターンだけだったんで、そこはもう加藤さんのコレ(腕)でね。
こういうバラードは、もはや山内さんの得意技のひとつと言ってもいいんじゃないですか?
山内
どうなんでしょうね。独り言みたいな曲ですけどね。自然にできたんですよ。オリコン1位を絶対獲ろうって気持ちが全然ない曲ですね(笑)。キャッチーとかポップとかってことは意識せずに作っている。得意というか、こういう曲を作るのが好きなのかもしれないですね。
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