【MIYAVI】ここからの15年がどうなる
かを感じてもらえれば
独自のスラップ奏法で世界中から注目を集める、人呼んで“サムライ・ギタリスト”MIYAVI。デビュー15周年を記念して過去のシングル楽曲に新曲、新録曲を加えた集大成ベスト『ALL TIME BEST“DAY 2”』を今春、発表する。
取材:帆苅智之
昨年の映画『不屈の男 アンブロークン』に次いで、3月公開の『キングコング:髑髏島の巨神』にカメオ出演。映画の場合はなかなかご本人の意志だけで決められることではないでしょうが、MIYAVIさんご自身、役者の仕事も積極的にやっていきたいという感じなのでしょうか?
まぁ、役次第というところはありますが、どんどんやっていきたいとは思ってます。コング(『髑髏島の巨神』)は監督のジョーダン・ヴォート=ロバーツと会って、冒頭のシーンだけカメオ出演ですが、自分もアクションをやってみたかったし、スケジュールもうまく合ったんで。他にアメリカ映画が1本、日本映画が1本あって、ともにもう撮り終えてます。
映画もそうなんですけど、音楽以外の活動にも精力的にトライされていますよね?
今はそういう時代だと感じています。社会がどんどんデジタルになって便利になり、音楽のデリバリーのかたちも変わってシュリンクしていく中で、音楽、映画、ファッション…この辺をクロスオーバーさせてブランディングしていく時代に来ていると思うんです。僕らは夢を見させてナンボの存在なので、“音楽が売れなくなってきたね…しょぼん”じゃなくて、そこでどうやったらカッコ良い存在であれるか。そういう意味で僕にとって音楽と映画とファッションは大事なエレメントです。あと、先日、タイの難民キャンプに行ってきたんですけど、難民問題がここまで大きく露呈し始めている中で、いかにチャリティーやボランティアをクールなかたちでやれるかということも大事なことだと考えています。僕らの先輩の時代には“政治のことは歌わない”という人も多かったし、当時はそれで良かったんでしょうけど、今は少し違うと感じています。自分たちがコミットしていかないと、未来は変わらない。僕自身、もっと勉強したいと思って、そういう場所に行かせてもらっています。
今の話からもMIYAVIさんが未知の領域へ分け入って活動していることが分かったのですが、それはこれまでの音楽活動も同じで。今回リリースされるデビュー15周年記念ベストアルバム『ALL TIME BEST “DAY 2”』は、まさしくMIYAVIさんが常にブレイクスルーを続けてきたというアーティストであることが分かる作品になっていると思います。
僕自身は過去を振り返っている性分ではないので、どちらかと言うと15年間ずっと支えてくれている人たちへの感謝。ベストアルバムはみんなに対しての“ありがとう”という気持ちです。15年前に僕を見た人が今の僕を想像できたかというと、できてないと思うんですよ。僕自身ですら想像できなかったですから。ということは、ここからの15年がどうなるか…そこを感じてほしいし、だから“DAY 2”と名付けたところもあります。“ここから、また、次へ行こう”という想いです。俗に言うカタログ的なアルバムにはしたくなかったし、僕的には全部を新録にしたいくらいだったんですけど…まぁ、レコード会社からしたらあり得ない選択肢でしょうけど(笑)。
(笑)。今回、新曲が1曲、新録が5曲収められていますが、これはMIYAVIさんからの要望だったのですね。
そうですね。やっぱり新しいものが入っていると自然とつながって、その軌跡が見えるじゃないですか。軌跡が見えたら、その次も見える。まぁ、実際には予想できない部分もあるから楽しいんですけど、そういう意味でも MIYAVI の“DAY 2”を感じてもらえたらと思います。
はっきり言いますが、本作はやはり新曲と新録が一番いいです。これは間違いない。特に新曲「Live to Die Another Day -存在証明-」は素晴らしい仕上がりになっていると思います。ここ2、3年のMIYAVIさんの楽曲はメロディーのいい曲が多いし、それはDISC 1の“DAY 1”にも収録されている「The Others」や「Long Nights」でも再確認できるのですが、とにかく新曲のメロディーは絶品ですよ。
ほんまですか!? ありがとうございます。これまでSMAPさんに何度か楽曲提供させてもらっていて、木村拓哉さんとも一緒にステージをやらせてもらって、今回「Live to Die Another Day -存在証明-」は彼の再出発の門出に向けた曲でもあります。SMAPという国民的アイドルグループを支えてきた人たちにとって、その解散は本当に大きいことだったと思うし、もちろんいろんな想い、賛否両論もあると思うんですけど、彼がひとりのエンターテイナーとして、ひとりの男として新たな一歩を踏み出すタイミングで、僕も力添えしたかったんです。
木村拓哉主演映画『無限の住人』主題歌として新曲の制作オファーがあったのですね。
そうなんです。三池崇史監督とSkypeで打ち合わせして、CGが入る前の編集した映画を観て、そこからインスパイアされて作りました。限りがあるからこその美しさ。木村さんが演じる主人公はそれを不老不死と引き換えに失うんですけど、守りたいと思わせられる存在と出会って、また生きたいと渇望する。映画自体、激しさと感情が揺れる部分のバランスが取れていて、主人公の繊細さとほとばしるパッションをひとつの楽曲の中でどう共存させるかがすごく重要だったし、僕としては大きなミッションでしたね。
私は映画未見ですが、この「Live to Die Another Day -存在証明-」を聴く限り、感情を揺さぶられるようなエンディングを迎えることが想像できますよ。
いいバランスになったと思います。登場人物ひとりひとり違う人生、それぞれの生き方、死に方、燃え尽き方…その熱量から“お前、一日一日、本気で生きてるか? 何となく働いて、何となくやってねぇか?”と問われている気もしました。
アーティスト
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