【cali≠gari】デビュー15周年をダー
クに彩るアルバム誕生!
L→R 村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo)、桜井青(Gu&Vo)
メジャーデビュー15周年のタイミングで完成したニューアルバム『13』。cali≠gariらしさは不変でありつつ、“13”という数字が放つダークかつ危ういイメージをテーマに制作された本作についてメンバーに話を訊いた。
取材:早川洋介
アルバム『13』のメンバーのビジュアルは、実は狂信盤のアートワークありきで作られていたのですね。
桜井
そうです。魔夜峰央先生に『アスタロト』の描き下ろしをお願いできるのであれば、それに寄せたアー写を撮るのも面白いかなと。結果、灰野敬二さんになったんですが。
ピンとこない人は、一度検索してもらって(笑)。資料に“cali≠gari史上最も忌み深かつダークな作品集”とありますが、ダークという共通項は歌詞の部分になりますか?
桜井
最終的にそうなりましたね。“13”という数字が醸すイメージに準じて、全体のトーンを暗めに揃えていって…ただ、曲調的にはダーク一色にはならなかったんですけど。
歌詞に関しては差異はあれど、ドロッとした男女の関係性を描いたものが多くなったのかなという印象でした。
石井
言われてみれば、そうですね。初めて言われたね?
桜井
うん。「汚れた夜」や「三文情死エキストラ」だったり、僕も完全に男女モノを書いたのは初めてで。いつもなら2丁目で面白おかしい事件があったら、それについて書いてますけど、そういう感じではなく純粋に“負”の部分…カッコ良い言葉で言うなら、トーンが暗めな、少し強めのメッセージ性を持ったものにしたというか。“頑張りましょうよ”と応援してるんですけど、ネガティブなポジティブってあるじゃないですか。三田佳子さんが映画『Wの悲劇』で言った、“あなた、女を使ったことないの? 私はあるわよ”みたいな。
石井
…どういうことですか? 全然分かんない。
桜井
(笑)。“自分の役を奪い取るのに女を使ったことがないのか?”といった意味ですよ。すごく好きな台詞で。だから、お水とか風俗の仕事に対して“そんな仕事”とか言う女の子がいるじゃないですか。でも、いいんですよ。他より秀でてるものがあるんだったら、それを使えば。そういうことを「汚れた夜」では書いてますね。
一方で、石井さんの歌詞は分かりやすいかたちではないにしても、「色悪」や「落花枝に帰らず破鏡再び照らさず」など、タイトルからその中身をイメージできるかなと。
石井
そう言われてみれば(笑)。テーマは全然なくて、“生きる”とか“死ぬ”とか“愛”とか、そういうことを語る時、必然的に男女の話になりますからね。で、そういうものって普遍的なテーマじゃないですか。今まではあえて歌詞にしたことはなかったですけど、今はもういとも容易く簡単に、そういうことばかり言ってしまおうという感じに変わってきたんですね。きっと、その言い方が伝わりづらいんでしょうけど。
桜井
“愛”という単語の使い方がわりと俯瞰的だよね。あんまり大事に使ってない。
石井
そう。どうでもいい感じ(笑)。“僕”や“私”と同じ感じで、愛だ、恋だ、生きるだ、死ぬだと言ってやろう、みたいなことだけです(笑)。だから、前向きになったわけではないし、本来の意味でそういう言葉を使ってるわけではないので。
村井
みんな、いろいろ考えててすごいですよねぇ。なので、今度cali≠gariでやりたいのは、めちゃめちゃ薄っぺらいアルバムとか作ってみたいですよね。
桜井
愛だの恋だの言うアルバム?(笑) 翼を広げて、桜を舞い散らせて、夢があれば生きていける…みたいな。
村井
ええ。毒にも薬にもならない、行間ゼロのやつを。
(笑)。そんな研次郎さんは、ジャジーな「三文情死エキストラ」と原曲はかなりメタルだったであろう「一切を乱暴に」を提供してますね。
村井
まさに「一切を乱暴に」はドコドコいってる感じで…それをふたりに任せれば、cali≠gariっぽくなりますから。
石井
ギターがリフを刻んでいたところを全部カッティングに変えたり、青さんと掛け合いで歌うメロディーを作ったりして、ライヴの見栄えも考えてアレンジしましたね。仮ギターは自分で弾いていて、それがすごく楽しかったんですよ。デモなのに無駄に何回も一生懸命弾いてみたりして(笑)。
ははは。その「一切を乱暴に」は過激な歌詞でフラストレーションが爆発しているなと。
石井
いや、歌詞の内容は怒ってるわけじゃなくて、背中を押してる感じなんですよ。みんなすぐ言いますよね、“もう死にそう”“ああ死にたい”とか。すぐに“死ぬ”って言うじゃないですか。だったら、言葉の上では何回も好きなだけ死んで、でも現実では最後まで生き抜いていってくれと。
あぁ、そういうポジティブな内容でしたか。また、「深夜、貨物ヤード裏の埠頭からコンビナートを眺めていた」はアルバムのラストにして、もっとも暗く重く物寂しい曲で。
桜井
ここまでバンドを長く続けてると山あり谷あり…谷ばっかりで、それでもやっていかなきゃなぁ、みたいなことを歌ってるんです。《夢を信じていなければ》と言っていて、夢を信じていなければここまで来れなかったのか、夢なんか信じていなければこんな目に遭わなかったのか…いろんな捉え方ができますよね。暗いことを書いてはいるけど、暗い中にも“まぁでも、やるしかないよね”っていう達観した想いがあるのかな。だから、ハッピーエンドではないけども、悲壮感たっぷりのバッドエンドって感じではないですよね。
そして、全国ツアーに加えて、9月には追加公演もありますが、日比谷野外大音楽堂公演のキャッチコピーがイカしてますね。“楽しいだけの野音を返して。”という。
桜井
あぁ、あれですか(笑)。第7期終了も野音だし、2003年にcali≠gariを一度終わらせた時も野音だし、わりとネガティブなイメージが付いちゃってるんで…。だから、ダークなアルバムで、ダークなライヴだけど、今度は楽しい野音をやりたいなって思ってるんです。
村井
“cali≠gariの野音は特別”って思ってくれてる人もいるだろうし、不思議と屋外も似合うバンドですからね。
アーティスト
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