Walter Gibbons

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    Walter Gibbonsウォルター・ギボンズ

    ウォルター・ギボンズは世界で初めて、DJがプレイしやすいようにエディットして原曲の時間を引き延ばす"リミックス"を手掛け、途切れることなくドラム・ブレイクを繋ぐ"カットイン"や、同じフレーズを永久に繰り返すことを可能にした"2枚がけ"など、今日のありとあらゆるDJが常識的に用いるテクニックを実践した先駆者である。
    70年代中期からニューヨークのクラブ<Galaxy 21>でDJとして活躍していた彼は、友人であるDJトム・モウルトンの誘いを受け、後にハウス・シーンから狂信的に崇拝されることとなるディスコの名門<Salsoul>レーベルにて、ダブル・エクスポージャー「Ten Persent」(76年)、サルソウル・オーケストラ「Nice 'n' Nasty」(76年)、ロリータ・ハラウェイ「Hit and Run」(77年)、ベティー・ラヴェット「Doin' the Best That I Can」(78年)を始めとする数多くの傑作を輩出。<Salsoul>は、その名の通り、サルサとソウルを融合したサウンドを指標としており、これらが現在のハウス・シーンにおけるアフロ・キューバン/プエルトリカン・サウンドの核を形成した。80年代には、盟友アーサー・ラッセルとのコラボレーションにおけるディスコとミニマリズムの融合から、「Let's Go Swimming」(83年)、シカゴ/ディープ・ハウスのルーツとも言われる「Tree House/School Bell」(83年)が誕生。——その後も精力的なDJ活動を展開したが、94年に他界。「自分は神の楽器にすぎない」という発言が、彼の音楽に対する尊敬の念を如実に表している。