Wallace Roney

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    Wallace Roneyウォレス・ルーニー

    赤、青、黒ラッパ(すべて彫刻入り)——仏壇チックなド派手楽器を振りかざし、「マイルス・デイヴィス(tp)とは何ぞや……?」とジャズ・シーンに登場。心底から彼を敬愛し、そのラブ・コールかなって91年にはマイルス・バンドで晩年の彼をサポート、ついには遺言で愛用のトランペットまで贈られてしまった“マイルスII世”こと、ウォレス・ルーニー。ただの“ゲテモノ派手好き”ではありません(笑)。
    超ダッシュで経歴をたどると———60年に生まれ、5歳でラッパを握り、バークリー音楽院で学んで、86年にはジャズ・メッセンジャーズとトニー・ウィリアムス(ds)のバンドに参加、翌年には初リーダー・アルバム『ヴァーセズ』を発表し、参加したアルバムは数知れず、リーダー・アルバムも10作以上!! ——です(はぁ)。そして、その水面下には全てマイルスの影が……。多くのアルバムで彼の曲をとりあげるも真似の域はとうに超越し、まさに“そのもの”になりきっている。94年より<ミューズ>からマイルスのいた<ワーナー・ブラザーズ>へ移籍し(このあたりにレコード会社の思惑も感じられるが)、彼をトリビュートする企画やアルバムにも積極的に参加。最近では“カインド・オブ・ブルー・バンド”(ジャズ史上屈指の名盤といわれるマイルスの「カインド・オブ・ブルー」を再現するためにつくられたバンド)の主軸メンバーとしても活躍している。
    現存するトランペッターでは、ウィントン・マルサリス同様、他よりあたまひとつ抜きでている感のあるルーニー。自他ともに(そして本人も)認める“マイルスの後継者”として、次はどこへ向かおうとしているのだろう。