Rudimentary Peni

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    Rudimentary Peniルーディメンタリー・ペナイ

    ルーディメンタリー・ペナイ。日本語訳をすると"未発達のペニス"となる。この意味深長で象徴的なネーミングそのままの異彩を放ち続ける、英国のパンク・バンドだ。
    結成は80年前後と思われる。81年にレコーディングしたEP『Rudimentary Peni』を出したあと、82年には<CRASS>からEP『Farce』をリリース。CRASSのペニー・リンボーが共同プロデュースしたこのレコードで、ルーディメンタリー・ペナイの評判は高まった。そして翌年、<CORPUS CHRISTI>から1stアルバム『Death Church』を発表し、シーンに衝撃を与えた。
    70年代のパンク・ロックとは明らかに違うが、かといってハードコア・パンクの典型のように速いわけでもない。ミッド・テンポで進む神経症的なダーク・サイキック・サウンドなのだ。また歌詞からは、政治や社会との対峙ゆえに蝕んだ精神的な病みも感じさせる。神経質なまでに精緻な筆致のアートワークも担当するヴォーカル/ギターのニック・ブリンコは、パンク/ハードコア史上屈指の内向的キャラクターともいえる。とにかく、一度彼らの作品に接したら忘れることはない。
    ルーディメンタリー・ペナイはシーンがどうあろうと、以降もまったくのマイ・ペースで数年に1枚、<OUTER HIMALAYAN>から作品をリリースしつづけている。発表してきた『Cacophony』『Pope Adrian 37th Psychristiatric』を聴くと、マイナー・チェンジはあれど基本ラインの不変さに驚く。そして01年にはEP『The Underclass』をリリース。衰えぬ緊張感に、身震いするのだ。
    たとえば、ニューロシスの1stアルバムのジャケットの線描はルーディメンタリー・ペナイを思わせる。昔からUKハードコア/アナーキスト・パンクに入れ込んでいたリー・ドリアン率いるカテドラルには、ルーディメンタリー・ペナイから触発された歌詞もある。影響力は少なくない。 (行川和彦)