RICK BOWLES

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    RICK BOWLESリック・ボウルズ

    バー・カウンターに腰掛けた男は遠くを見つめ、寄りかかっている女は物思いに沈む。いかにもワケありな関係の2人。これほどAORの本質を突いているジャケットはないだろう。——そう、リック・ボウルズの1st『Free For The Evening』(82年)のカヴァー・アートである。マッスル・ショールズのAORデュオ、バーン・アンド・バーンズがバックアップしたこの作品は、ソフィスティケイトされたハーモニーとクリスタルな輝きを放つメロディが合体した佳作である。特にクリストファー・クロスにより哀愁を加味したようなボウルズの歌声は、AORファンならツボでしょう。
    彼が世に送り出した作品はこの1枚のみと言われ続けてきたのだが、01年には幻の2作目『No Man's Land』が発掘され、ファンを狂喜させた。この作品でも前述したバーン・アンド・バーンズが全面参加し、アダルト指向のポップスを展開。好事家にはたまらない内容だ。