悲運のバンド、バッドフィンガーを率いた故ピート・ハムが残した『セヴン・パーク・アヴェニュー』
厚い雲に覆われた、重苦しい冬空を眺めていると、同じく憂鬱そうな英国の空を思い浮かべてしまう。そんな時、ふっと脳内にプレイバックされたのが、彼の歌声だった。流れていたのは「ミッドナイト・コーラー(原題:Midnight Caller)」という、彼が率いたバンド、バッドフィンガーの2nd作『ノー・ダイス(原題:No Dice)』(’70)に収められた一曲だったが、ヒット曲でもなく、代表作でもないその曲がなぜ選ばれたのかは計りかねたが、これも何かの縁と思い、彼、ピート・ハムの遺した作品集『セブン・パーク・アヴェニュー(原題:7 Park Avenue)』を紹介したいと思った。