サザンソウルの完成形とも言えるオーティス・クレイの圧倒的な傑作『愛なき世界で』
アメリカではオーティス・レディングやアレサ・フランクリン(60年代後半〜70年代初頭あたり)が知名度の高いサザンソウル・シンガーになるのだろうが、日本では彼らよりオーティス・クレイのほうが愛されているのではないか。今回紹介する彼の『愛なき世界で(原題:Trying To Live My Life Without You)』は、ハイ・レコードからのデビューアルバムである。1978年の伝説の初来日公演後には彼のファンが一気に増え、さかのぼって本作を購入することでサザンソウルの魅力に取り憑かれてしまったリスナーは少なくないはずだ。鉄壁のハイ・リズムとメンフィス・ホーンズをバックに、誠実さをにじませたソウルフルなクレイのヴォーカルは今聴いても全く古びておらず、傾聴すべき名作に仕上がっている。