Hugo Wolf

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    Hugo Wolfフーゴー・ヴォルフ

    シューベルト、シューマンに次いで、19世紀ドイツ・リート界における最大級の作曲家。作品のほとんどは歌曲で、ほかの分野は数曲ずつしか残していない。彼が創作の原点としていたのはワーグナー「タンホイザー」であり、半音階的進行や次々と現れる転調など、ワーグナーが確立した和声法の上に、歌詞の内容や心理描写が深く映し出されている。
     音楽好きな皮革職人の父親を持ち、子供の頃からピアノやヴァイオリンの手ほどきを父親に受ける。早くから才能を現し、父親が率いるアマチュア・オーケストラの第2ヴァイオリンを担当した。高校時代は持ち前の激しい性格のため、絶えず問題を起こし転校を繰り返したというエピソードもある。さらにウィーン音楽院に入学したが、またもや性格を理由に退学となってしまい、自力でワーグナーを原点として勉強を続けている。
     その後批評家の職を得た彼は、当時ワーグナーと対極にあったブラームスを激しく攻撃し、またメンデルスゾーンやドヴォルザークなども痛烈に批判するといった生活を送る。その後、それまで習作の域を出なかった歌曲の作曲において、突然新しい表現力が現れ始め、作曲家として認められるに至った。