日本のハードコア・テクノの歴史にフォーカスした書籍『History of Japanese Hardcore Techno』刊行
日本のハードコア・テクノの歴史にフォーカスした書籍『History of Japanese Hardcore Techno』が11月中旬に刊行される。
レーベル〈MURDER CHANNEL〉主宰の梅ヶ谷雄太が発刊した世界初のブレイクコア専門書籍『ブレイクコア・ガイドブック上下巻』、多種多様なハードコア・テクノの魅力にフォーカスした『ハードコア・テクノ・ガイドブック オールドスクール/インダストリアル編』は、ニッチどころかまさにコアそのものの狂熱的な電子音楽ーハードコア・テクノの秘史について独自の視点で綴ったシリーズ本として話題を呼んだ。これらの続編であり、ハードコア・テクノ・ガイドブック3部作の完結編として新たに登場するのが『History of Japanese Hardcore Techno』だ。
前著ではハードコア・テクノ発祥の地であるドイツをはじめオランダやイギリスなど欧米諸国のシーンや、ハードコア・テクノ・フリークならではのこだわりが感じられる細分化されたジャンルの解説など、正史や定義を広く述べるにはなかなかに強烈なサウンドが築いてきた文化をマクロな視点で物語った。
一方、自費出版となる今作『History of Japanese Hardcore Techno』では、日本におけるハードコア・テクノの歴史と変遷をミクロに捉えている。デステクノという名称で展開されていた黎明期から、今日の広がるポスト・レイヴのような予期せぬ発展への道のりまでが約2年間の取材期間を経て、総勢30組以上のアーティスト、クリエイター、ライターなどといったシーンの当事者たちの視点を交えつつ記されている。
また、表紙をイラストレーターのJun Inagawaが手がけているように、漫画、ゲーム、アニメといった日本独自のいわゆるオタク的サブカルチャーとの強い結びつきや、ノイズやグラインドコアといったエクストリーム・ミュージックとの関係性が明かされており、参加者による貴重なハードコア原体験やリアルなエピソードが歴史的な裏付けをしている。ディスコでガバが流れた夜、アンダーグラウンドなりの表現の自由、ナードなクラブ・カルチャーの誕生……といった本書で語られるトピックスをほんの一部抜粋しても、本書がユニークかつボリューミーな内容になっているのが伺えるだろう。
細江慎治、Hammer Bros、Shigetomo Yamamoto(OUT OF KEY)、DJ SHARPNEL、DJ TECHNORCHといった数々のパイオニアたちに加え、国外からはThe Speed Freak、JAKAZiD、Laurent Hô、Noize Creatorらが参加し、敬意を払いながらカルチャーの歴史を体系的に示すことで胸を張って正史と言えるほどのジャパニーズ・ハードコア・テクノ・ドキュメンタリーが今ここに完成した。
往年のフリークや筋金入りのレイヴァーはもちろんのこと、ハードコア・テクノを耳にしたことがなくとも楽しめる『History of Japanese Hardcore Techno』は〈MURDER CHANNEL〉のWEBショップ 「MxCx online store」(https://mxcxshop.cart.fc2.com/) でのみ11月中旬に販売される。通常版に加えて、Jun Inagawaのイラストを使用したTシャツとポスター、ステッカー、本編未収録のディスクレビューとコラムを載せた小冊子、J-Coreの名付け親であるオランダのNeodash ZeroxによるJ-Coreクラシック・ミックスのDLコードが入手できる超豪華仕様の限定セットも登場。本書をより味わい深く楽しむために用意された受注生産限定セットは10月25日(水)まで予約を受け付けている。