DEMOLITION 23

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    DEMOLITION 23デモリション・トゥエンティスリー

    メンバーの不慮の事故で、わずか数年の活動に幕を下ろしたハノイ・ロックス。ウィリアム・バロウズの短編集の中からとったDEMOLITION23.という名前のこのバンドはハノイ解散後、主にソロ・ワークに取り組んでいたヴォーカルのマイケル・モンローとサム・ヤッファ、ジェイ・ヘニング、ジミー・クラークによって93年に結成された。サムは言わずと知れたハノイのベースで、ジェイはグラム・ロック・バンドのスタースターの元ギター、ジミーはデボラ・ハリーらとコラボレイトしていたドラマーだ。
    94年にバンド名を冠してリリースされたアルバムは、各々が持ちうる衝動をぶちまけたかのようなパンキッシュなエネルギーに根ざしたもので、デッド・ボーイズやジョニー・サンダースなどのカヴァーも収録。原点回帰的なニュアンスも感じさせる一枚に仕上がった。しかし、格好いいバンドではあるのだが——ハノイを彷彿させるキャッチーなR&Rナンバー「Hammersmith Palais」で唄われる"ハマースミス(パンク全盛期のクラブの名前)が閉まっちまってからN.Y.もつまんねぇよなぁ"的な内容の詞に象徴されるように、現状への鬱屈した想いが全編に満ちているのが、聴いてて妙に侘びしくもある。
    このバンドでは、事故でツアー不参加となったジェイの代わりに元ハノイのナスティが加わっての日本公演も実施されたが、ナスティとサミィが個人活動を望んで脱退。残念ながらバンドは短い活動期間を終えてしまった。