DEJJA

女性シンガー、DEJJA。彼女は詞の中であまり多くを具体的に語ることはない。よって聴き手側のさまざまな解釈が可能となるが、そこはかとなく感じられるのは、孤独や不安を抱えながらも、自らの力で安息ややすらぎの場を探し出そう——とする揺ぎない強さだ。そういった感情を非常に美しくポエティックに表現している辺りが、彼女のアーティストとしての特異な点だろう。言葉一つ一つを吟味するかのように発せられる水彩画のような歌唱、あるいは詩吟の如き口調で淡々と披露されるメロウ・ヴォイス、時折繰り出される切なげなフェイク……それらすべてがまるで深遠な森のように魅惑的なのだ。
そして彼女の言葉を彩るジャズ・テイストなR&B／浮遊感あふれるヒップホップ／奥深い空間を感じさせるダブ／たたみ掛けるようなアブストラクト・ビート……といったヴァラエティに富んだサウンド・トラックは、いずれもヴォーカルとの見事な一体感をみせている。