Cedar Walton

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    Cedar Waltonシダー・ウォルトン

    稀代の美しいピアノを熟知しているシダー・ウォルトン。堅実に音を抽出し、丁寧に演奏する。そこから弾き出されたコード音は、一つ一つが他を邪魔することなく、イキイキと透明感に溢れた様式美を構築しており、右手と左手のコンビネーションもまた絶妙。他の曲の引用が多いメロディ・ソロは彼の遊び心の表れであり、好感がもてる。スタイル面でも、歴史をシッカリ踏襲し“ハード・バップ・ジャズ”の範疇を守りながら、地味に(笑)挑戦作をリリースしている。エレクトリック・ピアノを用いた『エレクトリック・ブーガル』(69年)や『ブレイクスルー』(72年)、スティーヴィー・ワンダーの名曲「マイ・シェリー・アモール」を取り上げた『ソウル・サイクル』(69年)などがそうだ。ストレート・アヘッドな演奏では『ザ・トリオ1』(85年)がお薦め作といえる。
    ジャズ・メッセンジャーズへの参加をはじめ、新感覚テナーのジョー・ヘンダーソンや知性派トランペッターのアート・ファーマーなど、多くのビッグ・ネームと共演し、サイド・メンとしての活躍も光る彼。多くのアルバムで「ここにも。……あっ、ここにも」とウォルトンの名を発見できるだろう。