Benny Goodman And His Orchestra

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    Benny Goodman And His Orchestraベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ

    30年代後半、"キング・オブ・スウィング"の名を欲しいままにした、ベニー・グッドマン率いるオーケストラ。3000を越えるビッグ・バンド勢の中、もっとも人気が突出していた白人バンドである。その秘密は何だったのか? それは人種差別の激しい当時にあって、白人ならではの洗練されたセンスで黒人フィーリングを丁寧に噛み砕いて消化し、極上スウィングを生み出していたからに相違ない。また、キラ星のようなメンバーが勢揃いしていたのも大きな魅力だ。特に、最高のグルーヴを支えるドラムのジーン・クルーパと、稀代の豊麗なプレイを誇るトランペットのハリー・ジェイムスの存在は、バンドを語る上で忘れてはならない。また、アレンジャーのフレッチャー・ヘンダーソン、ライオネル・ハンプトン(vib)やテディ・ウィルソン(p)といった黒人プレイヤーも頻繁に起用していた。
    そして、ジャズ・ビッグ・バンドを"踊るための伴奏"から"鑑賞するための音楽"にまで引っ張りあげ(35年、L.A.で演奏した時、踊っていた人々がいつのまにか聴きいっていたという事実)、クラシックと肩を並べる"芸術"に昇華させた(ジャズ・バンドとして初めてクラシックの殿堂、カーネギー・ホールに出演)。——数々の伝説を残してきた超最高のバンドである。