Analyst

ターンテーブルを自在に操るDJマークを従えた、ビート・ヘッズのプロデューサー＝アナリスト。彼がシリアスなトラックの数々を引っさげて、シーンに登場した。
アナリストが生み出すビートは、スムーズだがヘヴィーなアンダーグラウンド・ヒップホップ性／現実感覚をマヒさせるようなクルーダー＆ドルフマイスター風トリップホップ性／マッド・プロフェッサーやビル・ラズウェルを思わせるディープな（エレクトロ・）ダブ性……と、ジャンルを超越した多様な性質を孕んでおり、そこから浮かび上がるサウンドスケープは幽玄の広がりを感じさせる。
また、サンプリング手法においても然り。
ヴィヴァルディによる印象的なストリングス引用（ヤリ過ぎの感あり？）に始まり、リー・ペリーのオマジナイのようなつぶやき声／腹にズンズンと響くレゲエのベース音（リズムマシーンのプリセット音か）など、彼の作品にはありとあらゆる音の断片が散りばめられている。それらのアンサンブルが素晴らしい興趣を形成しているのだ。
音楽の分析家、アナリスト。彼がメインストリームに躍り出る日も近い、か。