アツキタケトモが疑う常識と、問いかける幸せ。海外のポップスと歌謡を融合する新鋭に迫る
アツキタケトモの新作『幸せですか』には、この社会に対する疑念と希望が赤裸々に綴られている。「幸せですか」という問いは、聴き手に投げかけるメッセージである以上に、彼自身が自らに問うてきた生涯のテーマなのだろう。言い換えればそれは、この陰惨な社会で“どう生きるか”という課題でもあり、そこで“何を大切にしていくのか”という意思表示でもあるはずだ。彼はそうした自身の思索を、敬愛するポップミュージックからの影響と共にアウトプットする。3歳の頃から歌に目覚めたというアツキタケトモは、高校生の頃から本格的に作詞作曲を開始。既に300曲以上のストックがあるという気鋭のシンガーソングライターである。作詞・作曲・編曲だけでなく、演奏や録音までをひとりでこなす彼は、昨年初のアルバム『無口の人』をリリース。それから10ヶ月というスパンで発表されたのが、2枚目のアルバム『幸せですか』である。Dirty ProjectorsやBon Iverを敬愛し、オルタナティブの立場から歌謡の可能性を模索する。アツキタケトモのルーツを紐解きながら、その表現に迫る。