牧謙次郎

牧謙次郎は、政治やマスメディア、そして社会全体に対し硬派なメッセージを投げかけるシンガー・ソングライターだ。腹の底から振り絞るような声で、小節に目一杯言葉を詰め込むその姿は、まさに現代のプロテスト・シンガーと言えるだろう。さらに、デビュー・シングル「おかしい」（99年）が７分55秒という大作、アルバムに至ってはCD２枚組という破天荒ぶりも、現在のミュージック・シーンでは異色である。そんな牧には、やはり尖ったサウンドがよく似合う。ドラムンべース／ヒップホップ／グランジと多彩なエレメントを取り入れ、メッセージをさらに先鋭化することに成功している。