夏休みの終わりに読みたい、おすすめ
のファンタジー小説3選

「獣の奏者 全5冊合本版」上橋菜穂子(講談社)

夏休みもあと僅か! そんな時間に少しゆとりのある今だからこそ読みたい、ファンタジー小説を厳選
ファンタジーの醍醐味は幻想的で、想像力をかきたてる極上の世界観! そんな世界観を堪能できる傑作だけを集めました、どうぞお楽しみください!

「ホビットの冒険」

全ての始まりは、ある四月も末の日だった。ホビット村のビルボを訪ねた魔法使いのガンダルフの画策により、13人のドワーフたちが次々と押し寄せてきたビルボ宅のティーパーティー。トーリン・オーケンシールド率いるこのドワーフ達は、邪竜スマウグに奪われた父祖の地「はなれ山(エレボール)」とその財宝を取り返す遠征を計画しており、ガンダルフの勧めでビルボを「忍びの者」としてやってきたのである。
何も知らないビルボは慌てふためくが、ドワーフ達の歌を聴いているうち我知らず冒険を求める「トゥック的」性向が掻き立てられ、思わず計画に乗ることにしてしまう…のちに指輪物語にまで続く伝説の序章!! 王道古典ファンタジーの金字塔的作品!
ファンタジーはどうしても世界観や設定に力が入ってしまいますが、この作品は人間の内面的な成長を丁寧に描いているところにあります。そして善悪に対する考え方の変化など見ていて共感できるシーンが多数あるのが魅力です、大人の今だからこそ感じるところの多い作品です。

「新世界より」

1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を身につけている。注連縄に囲まれた自然豊かな集落「神栖66町」では、人々はバケネズミと呼ばれる生物を使役し平和な生活を送っていた。この町に生まれた12歳の少女・渡辺早季は同級生達と町の外に出かけ先史文明が遺した図書館の自走型端末「ミノシロモドキ」と出会う。それにより彼女達は1000年前の文明が崩壊した理由と、現在までの歴史を知ってしまう。
禁断の知識を得た早季達はある者に呪力を凍結され、彼女達を取り巻く仮初めの平和は歪み捩れ始める。架空の物や生物の描写が細かくそれにより独特な幻想的世界観を作っているのが特徴的な小説です。
ストーリー展開も無理がなく、長編ですが無理や無駄がないのでサラサラと読めてしまい気づいたら3冊(上・中・下)一気に読めてしまえる、というよりも読みきっているという印象の強い作品です。フィクションなのに妙なリアリティを感じ、どこかに怖さのある傑作小説です!

「獣の奏者」

「リョザ神王国」を舞台に、運命に翻弄される少女「エリン」を軸に人と獣の関わりを描くファンタジー巨編! 獣ノ医術師である母と共に、闘蛇衆達の村で暮らす少女エリン。彼女の母ソヨンは優れた医術の腕から、闘蛇の中でも特に強い「牙」の世話を任されていた。ある日、村で飼っていた全ての牙が突然死んでしまい、ソヨンはその責任を問われ処刑されることとなる。
母を助けるために奔走するエリンであったが失敗し、天涯孤独の身となるエリン、蜂飼いのジョウンに助けられ彼と暮らすことに…そんなある日山奥で天空を翔る野生の王獣と出会いその姿に魅せられたエリンは母と同じ獣ノ医術師になることを決意。ジョウンの昔馴染みのでもあるエサルが教導師長を務めるカザルム王獣保護場の学舎へと入舎する。
エリンの成長を見守り、エリンに共感できる作品なのはもちろん、ファンタジーだからこそ現代社会の問題にスポットを当てたようなところがある作品です、読んでいて考えさせられることが多いのです。そして闘蛇と王獣の表現も綿密で目の前で動いてるような臨場感は是非味わっていただきたいです!!

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