ブリットポップシーンに影響を与えた
ザ・スミスの名盤
『ザ・クイーン・イズ・デッド』
『ザ・クイーン・イズ・デッド』/ザ・スミス
たった5年しか活動していないバンドにもかかわらず、ザ・スミスが英国の音楽シーンに与えた影響は多大だった。最近では、体調不良が心配されていたモリッシーが久しぶりに本国でツアーを行なうことを発表。2014年に2ndソロアルバムをリリースしたジョニー・マーは元オアシスのノエル・ギャラガーの配信曲にゲスト参加しているが、ノエルが自分のギターヒーローと崇めるように、ザ・スミスの存在は1990年代のブリットポップ・シーンを語るのに欠かせないだろう。スウェードもレディオヘッドも少なからず彼らの影響を受けていると思う。そして、ザ・スミスの名盤と言えばやはり1986年にリリースされ、UKチャートの2位を記録した『ザ・クイーン・イズ・デッド』を一番に挙げたい。
孤独と疎外感をさらけ出したモリッシー
名盤『ザ・クイーン・イズ・デッド』
もちろん、ジョニー・マーのカッティングも超クールで6分以上ある曲にもかかわらず、一気に聴かせるパワー感がある。ここから場面はガラリと変わり、スカビートと英国民謡にも通じるメロディーが不思議な雰囲気を醸し出す「フランクリー、ミスター・シャンクリー」へ。ちょっと牧歌的な曲調ではあるが、歌詞の中身は特定の人物に宛てたと思われるシニカルかつ切実な内容だ。
そして、どうしようもない悲しみが美しい旋律とともに言葉を超えて伝わってくる「アイ・ノウ・イッツ・オーヴァー」と、「ネヴァー・ハッド・ノー・ワン・エヴァー」で、すっかりザ・スミスの世界に連れていかれる。《ぼくはひとりぼっち ずっと悪夢からさめたことがない 誰とも仲良くなったことがない》と希望ゼロの歌詞を歌うモリッシー。なんとなくアメリカで、ザ・スミスがウケなかった理由がわかるような気がするが、前向きでエネルギーに満ちた歌だけが人を救うわけではない。
著者:山本弘子
アーティスト
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