異能の才を振りまいた
デヴィッド・ボウイのグラムロック
期の名作『Aladdin Sane』
『Aladdin Sane』/David Bowie
今また何度目かのピークを迎えているデヴィッド・ボウイ。本名 David Robert Hayward Jonesは1947年生まれというから、御年67歳ということになる。禿げず、太らず、風貌も衰えず、才能も涸れず、蓄えもあり(たぶん)、老いを迎えたスーパースターとしては非の打ち所のない、人もうらやむデヴィッド・ボウイ様なのだが、デビュー50周年を記念して、所属レーベルの枠を越えてオールタイム・グレイテストヒッツとも言うべきアルバム『Nothing Has Changed』が近日、日本でも発売される。1964年のデビューシングルから、目下のところ最新作となる『ザ・ネクスト・デイ』('13)まで、全キャリアを網羅したベストアルバム・デラックス盤で、全曲最新リマスター、そして新曲「スー(オア・イン・ア・シーズン・オブ・クライム)」が収録される。同曲のプロデュースは『ザ・ネクスト・デイ』でも仕事を共にした盟友トニー・ヴィスコンティがあたっている。というわけで前振りはこれぐらいにして、この機会にデヴィッド・ボウイを聴くならこの1枚をという、過酷な作業に挑んでみた。
ついでに紹介しておくと、フィリーソウル時代なら『Young American's』('75)と『Staion to Station』('76)。特に『Young~』にはジョン・レノンが参加しているという超お得なオマケ付きだ。ドイツ表現主義時代はベルリン三部作とも呼ばれるが『Low』('77)『Heroes』('78)『Lodger』('79)もまとめて聴いてほしい。と、羅列してみると、1972年から1979年までの連作は全て必聴盤だということになってしまうのであった。それにしても、1年のインターバルさえ置くことなく、なんという創作意欲かと。もちろん、この間にはコンサートや世界規模のツアーなども行なっているのだ。それだけでなく、自分のことだけでも忙しいはずなのに、ボウイは世話焼きというか、目を付けたアーティストに成功の道筋を付けてやるというか、アルバムプロデュース、ミキシングにも積極的で、代表的な作品だけでもイアン・ハンター率いるモット・ザ・フープルの『すべての若き野郎ども』('72)、ルー・リードの『トランスフォーマー』('72)、イギー・ポップ&ストゥージズの『ロー・パワー』('73)、同じくイギー・ポップのソロ作『イディオット』『ラスト・フォー・ライフ』(共に'77)、『TV EYE』('78)など手がけている。他にもバンドメイトのミック・ロンソン(ギター)のアルバム制作も手伝っている。とまぁ、休日出勤、残業を嘆く日本のサラリーマンに負けず劣らずなボウイの働きっぷりには呆れるやら驚かされるやらである。本人、エネルギッシュなところなどまるで感じさせない、華奢で体力なさそうな身体なのだが…。
アルバム『Aladdin Sane』
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ボウイによって新しいロックが示されるアーティスト
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