【BabyKingdom インタビュー】
胸を張って想いを伝えることができる
土台がやっとできた

L→R 虎丸(Dr)、もにょ(Ba)、咲吾(Vo)、志記(Gu&Mani)

ビジュアル系バンド、BabyKingdomが17thマキシシングル「PENGUIN DIVE」をリリースした。メジャー感の強い表題曲の他、パンク、ゴシックメタルと、彼らがコンセプトに掲げる“MUSIC THEME PARK”に相応しい作品となっている。

“メジャーっぽい音源を作ってみたい”っていうところから制作に入った

表題曲「PENGUIN DIVE」を拝聴して、とてもメジャー感の強いナンバーという印象を受けました。メンバーのとらえ方はいかがでしょう?

咲吾

“メジャーっぽい音源を作ってみたい”っていうところから制作に入っていったのがリアルなところで、今そうおっしゃっていただけて、僕と志記はニヤッとしました(笑)。久しぶりにしっかりした歌モノで、メッセージ性があって聴ける楽曲というものを、ビジュアル系っぽい音楽と懸念されるような曲ではなくて、スッと入ってきやすい楽曲をメジャーっぽく出してみたいという想いが本当に最初にあったので、そうおっしゃっていただけて何よりです。

志記

基本的に曲は僕と咲吾とでメインに作っていくんですけど、僕たちはコンセプトに“MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク”を掲げていて、どうしてもシングルのタイトル曲は展開が多くて複雑になりがちだったんですね。でも、今回はそうじゃなくて“歌を作りたい”っていうところからスタートしていて。なので、メジャー感があるって言っていただけて良かったってすごく思っています。

もにょ

すごく聴きやすいんですけど、結構転調が多い楽曲になっていまして、リズムとしては支える意味も持たせながら、ベースでは音楽的な深さみたいなものを出せているので、とても面白い楽曲に仕上がっていると思います。

虎丸

“メジャー感が強い”って言われたのも確かにそうなんですけど、個人的にはアニソンっぽい印象がすごくあって。でも、ドラムでアニソン味を強くしすぎるとちょっと聴きにくくなると思ったので、できるだけシンプルなところはシンプルに落とし込めるように、ドラムのフレーズを作っていきました。

「PENGUIN DIVE」の歌詞にはかなり普遍的なことが歌われていて、具体名を挙げると、尾崎 豊であったり、hideであったりがやってきたことと地続きであるように思います。歌詞はどんなところを意識されましたか?

咲吾

「PENGUIN DIVE」は“夢を見ることの自由さ”をコンセプトにしていて、ペンギンをモチーフにすると、ペンギンは飛べないから“いつか飛びたいな”って曲になりそうだけど、そういう曲ではないんです。それこそ、その考え方は人間だけだと思うんですよ。人間って生き方が整備されすぎていて、周りと比べちゃいやすいから、生まれてきた環境を恨んだりするけど、それってたぶん動物で人間だけだと僕は思っていて。ペンギンは別に飛びたいと思っていないだろうし、自分の世界で自分にできることを精いっぱいやって幸せを見つけていると思うんですよ。例えば人間だったら、パラリンピックの選手だって義足をつけて走っているけど、僕たちに悲しそうな目で見てほしいと思って競技に挑んでるわけじゃないと思うんですね。むしろ、僕たちはパラリンピックとか観たら勇気もらうじゃないですか。それって憐れんでほしいと思っているわけじゃなくて、自分の中でできる限界を見せる姿のカッコ良さがあって、人はそれに惹かれるからパラリンピックという大会が存在するのであって。なので、裕福であったり、貧しかったり…今は特に“親ガチャ失敗”とかいう言葉もそうだし、人間の中だけで差別化されている問題に対して、僕たちは悩んで比べたりしてしまうところがあるけど、そこじゃなくて、やっぱり裕福な人は裕福な人なりの悩みがあるかもしれないし、“人にそれぞれ悩みはあるけど、自分の人生で自分の幸せを見つけていけるんじゃないかな?”っていうのがメッセージになっています。

カップリングの「ハナムコペンギン」はイントロの出しからパンクオマージュがあふれている感じですね。

志記

この楽曲は咲吾から最初に送ってもらった時から、もう歌詞とコードがあったんです。それもフォークソングみたいな感じで。僕と咲吾はELLEGARDENが時代を作った頃の音楽が大好きだったんで、“ギターロック、パンクにしてくれ!”と言われて、BabyKingdom史上初めて本当に僕自身、何も考えず…って言ったら語弊がありますけど、出てくる想いをそのままアレンジした楽曲が「ハナムコペンギン」になります。

咲吾

ギターだけで作った本当に簡単なもので、志記に“これをパンクな感じにしてくれ”と言って。“たぶん俺はこれをギターヴォーカルでやるから、そういうふうに作ってくれ”って渡したらすぐに返ってきましたね。作りやすい楽曲ってあるんですよ。志記とは同い年で同級生なんですけど、それもあって志記からアレンジが返ってくるのは早くて。自分たちの時代にはこういうものが流行っていたから、よく聴いていた感じのスピード感はあったと思います。

志記

シングルで3曲収録するとなるとA面は咲吾と一緒に頑張って作るんですけど、やっぱりキャッチボールをしながら作るとすごい時間かかるんですよね。なので、シングルをひとつ作るとなって、そのかたちで全曲やるとさすがに時間が足りなすぎるんで(苦笑)、“B面はそれぞれで好きなことをやろう”みたいな感じになっていて。そこから僕がコンポーザーとして音をまとめるスタイルを取っているんです。

リズム隊のおふたりはいかがでしょうか? こうしたパンクナンバーの忙しない感じというのは、ある意味で見せどころ、聴かせどころでもあると思うのですが。

虎丸

だからこそ…という話なんですけど、誰でも叩けるような、めちゃくちゃパンク…メロコアっていうジャンルの中での王道のドラムですね。ドラムを始め立ての高校の軽音部の人が叩こうとなった時にでも、すぐに真似できるようなドラムにしています。

もにょ

パンクのベースに関してはルート弾きって言われるものが多くて、ルート弾きはフレーズ的にはそんなに難しいものではないんですけど、そういう楽曲ばかりのバンドではないBabyKingdomがそれをやっちゃったという(笑)。疾走感を出す上でレコーディングでもクリックに対してちょっと前のめりで弾く感じだったり…でも、当然崩れてはダメだし。特にベースの粒感って言われるものをすごい考えながらレコーディングしたと思います。

粒感? 音符のひとつひとつが際立つ感じですか?

もにょ

そうです。音符がつながっちゃうと疾走感が出てこないので。特に僕は指弾きなんで、ピックで弾いたみたいな強さってものがあったほうがいいんだろうなと思って。

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