【〝美根〟 インタビュー】
“誰もがそれぞれの
場所で戦っている”、
そんな気持ちで書いた

〝美根〟

オルタナティブ・シンガーソングライターの〝美根〟が、7月15日に新曲「この世界に」をリリースした。ひとりきりで立ち止まっているような描写から、力強く風が吹き込む曲展開の迫力、徐々に熱を帯び、自分を奮い立たせていく歌詞。自身も“ここから始まるくらいの勢いです”と語る、今の彼女そのものが描かれた同曲について訊いた。

大切な瞬間に見た景色が
自分を支えてくれる

2023年の一作目としてリリースされた「syrup」(2023年3月発表)はタイトルに反して辛口で、スリリングなサウンドと“己を見失うな”というメッセージに目が覚めるような感覚がありました。ただ自分の想いに真っ直ぐなのではなく、惑わされたり、傷ついたことがあるからこその発散力がある曲だと思いますが、この曲のもとになったご自身の気持ちがあったらおうかがいしたいです。

テレビやラジオ、SNS、さまざまなところから真偽も出自も分からない意見やニュースが飛び交って、思いもよらない混沌とした世界に恐怖さえも湧き上がります。あちらを立てればこちらが立たず、解決策を考えても、あらゆる角度にいる人がそれぞれに意見を言えるからこそ、その良さもあれば、話し合いさえできなくなる場合もあります。そんな世界を目の当たりにした時に、ひとつ、みんなに共通して言えることを見つけました。“自分の幸せを願っていい”ということです。“自分なんてこんなもんだ”と諦めてしまったり、“もっと苦労している人がいるから弱音は吐けない”と押し込めてしまったりするのではなく、素直に生活の幸せを貪欲に追い求めることって素敵なことなんだということが届けられたら嬉しいです。

小気味良くスピーディーな曲調でありながら、しっかりと重みのあるロックサウンドなのが逞しく、〝美根〟さんの楽曲らしいと思いました。

バンドサウンドでライヴ披露する姿や、サビ頭のコーラスやラスサビのバンドインを想像して曲を作り始めました。なので、イメージはライヴ感です。スピード感はもちろん、瞬発力や爆発力を思いっきり込めました。

また、「syrup」は歌声も魅力的です。静かに睨み効かせるAメロ、捲し立てるようなBメロ、衝天するように広がるサビ、この曲の歌声からは自分で物事を見極めて世の中をサバイブしていく力強さを感じます。

恐れるものも失うものもないと思って、思いきり楽しみ尽くして歌っています。今までと比べて言葉数が多く、流れていきやすいので、その中で意味を際立たせることはこだわりました。

アーティスト