【PK shampoo インタビュー】
波乱万丈な日々も経て完成した、
新たなスタートとなる渾身の一枚

L→R 西岡ケンタロウ(Ba)、ヤマトパンクス(Vo&Gu)、福島カイト(Gu)、カズキ(Dr)

PK shampooが約1年半振りの音源となる、『Pencil Rocket Opera E.P』をリリースする。コロナ禍だったり、マネージャーが失踪したり、上京したり、24年振りに父親と再会したり…そんな波乱万丈の期間を経て完成した最新作についてヤマトパンクス(Vo&Gu)に訊いた。

もう何があっても大丈夫な
気はしてきた

EP『Pencil Rocket Opera E.P』が完成しましたが、音源のリリースは21年11月リリースの1stフルアルバム『PK shampoo.wav』以来ということで、前作以降はバンドにとってどんな期間でしたか? …という質問なのですが、いろいろ大変だったみたいですね(笑)。

いやぁ、大変でした。マネージャーに売り上げを持って飛ばれ、レコーディングする費用もなくなり、『探偵!ナイトスクープ』で24年振りに父親と再会して(笑)。これだけいろいろあったら、もう何があっても大丈夫な気はしてきましたね。

人間的には逞しくなれたでしょうね(笑)。で、ようやく最新作のリリースにこぎつけて。

「SSME」とかはかなり前からあった曲だったりして、ツアー前にリリースしたかったので、半分くらいは制作が進んでいたんですけどね。今までの作品だとノイズとかインディーロックっぽさとか、ある種の老獪さみたいなものをフィーチャーして曲を作っていたんですけど、今回はそういう部分を意図的に除去して、ちょっとハイファイに寄せたり、歌謡チックなところにスポットを当てた曲もあります。今までは足し算していくことで…例えば“ラブソングは恥ずかしいな”とか自分の歌手性みたいな部分をマスキングしていたところがもしかしたらあったかもしれないんですけど、今回は周りの人たちからの提案もあって、そういうところを意図的に露出させていて。それが世間の人たちにどう受け入れられるのか不安もありつつですけど、ちょっと曝け出してみた一枚になりました。

グッと楽曲世界の奥底まで引き込んでくれる、曲の力もありつつね。すごくポピュラリティーを持った作品になっています。1stアルバムでPK shampooのひとつの完成形が見えた時、“これをもっと広い層の人に聴いてもらいたい”とか“楽曲の魅力を最大限に活かしたい”とか、その向こう側が見えるようになって、もう一度自分たちと向き合えたのかなと思ったのですが?

まさにそんな感じだったと思います。1stアルバムを出して、ソロ(2021年8月発表のEP『衛星都市計画』)を1枚出して、やりたいことが全部見つかって、あとはそれを掘り下げていくイメージでした。今回だと「落空」は“歌謡曲っぽい歌い方だよね”ってよく言われたので、昭和歌謡とか、下手したらブルースとかジャズとか演歌くらいのところまで掘り下げてみようかなと思って、バイオリンを入れたり、京都の友達のジャズギタリストを呼んでアレンジを一緒にやったり、弾いてもらったりしたんです。今後もそういった掘り下げる作業になっていくのかなと思いましたし、それの最初みたいなことができたと思っています。

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