話題の「スーパーブラス」について、
ザ・シンフォニーホール取締役ゼネラ
ルマネージャー・音楽監督の喜多弘悦
に聞いた
―― ザ・シンフォニーホール スーパーブラス、聴かせていただきました。奏者も聴衆も喜びに溢れた、素晴らしいコンサートでしたね。隣の席の家族連れは、「絶対に次も行こうね!」って(笑)。指揮する喜多さんは、普段ホワイエでお見かけする表情とは全然違っていました。まず、子供の頃の楽器経験からお聞きしてもいいですか。
―― 学校でのクラブ活動は続けておられたのですか。
はい、高校に入ってもブラスバンドは続けていました。実家がお寺で広いので、高校に入ったタイミングで、親がティンパニーを買ってくれたのです。そうなると教則本なんかもどんどん進んで、高1の終わりには音楽大学の卒業試験の課題も終わってしまいました。先生と相談して、海外に出た方が良いのではないかということになりました。その頃、ちょうどニューヨークフィルが来日するということで、首席ティンパニストのローランド・コーロフ先生にレッスンを受けたところ、高校卒業後、アメリカに来たらレッスンするよ‼と言われ、めでたくニューヨークのジュリアード音楽院に入学しました。
高校時代、ローランド・コーロフ先生と
高校時代の演奏会から
ジュリアード音楽院時代、ソウル・グッドマンから指導を受けているところ
早いですね。あっという間の10年でした。うちの会社の浮舟総長の元にザ・シンフォニーホールの経営をお願いできないかと金融機関から連絡が入ったのは、2012年の1月のことでした。考える時間は2か月弱。3月には返事が欲しいとのことだったのですが、私はその話を聞いた瞬間、これはやるべきではないなと思いました。ザ・シンフォニーホールといえば、カラヤンが絶賛し、関西、いや、日本のクラシック音楽文化を牽引してきた宝物です。安易に引き受けて、何かあれば大変です。意見を求められたので、お断りすべきだと思いますと、総長に申し上げました。
―― 滋慶学園がザ・シンフォニーホールの経営を引き継ぐと公式発表が有ったのが、2012年の3月の末だったでしょうか。東日本大震災の翌年ということで覚えています。クラシックファンとしては、なんとかザ・シンフォニーホールがこれからも存続して欲しいという気持ちでいっぱいでした。ホールの名称が「滋慶シンフォニーホール」になることは仕方ないと思っていました(笑)。
おっしゃる通り、名称変更は経営譲渡の既定路線。私もそういう提案を受けたことがありますが、総長からは「ザ・シンフォニーホールは、ザ・シンフォニーホールとしてあるがままに継承していかないといけない。名前を変えるなんて野暮なことは絶対にしない。」と言われました。シンフォニーホールの機関誌「Sinfonia」の0号(2014年1月発刊)に、浮舟総長、田仲社長、わたし、そして朝日放送の堀江アナウンサーの4人による対談記事を掲載しました。それを今読み返してみると本当に興味深いです。映像と光を音楽と融合させたコンサートの実現や、ホール発のビッグバンドや弦楽合奏の立ち上げ、そして子供のためのコンサートの充実など、当時はアイデアとしては面白いねと言われていましたが、今振り返るとどれもが実現しました。
こちらはザ・シンフォニーホールの名前を冠した、総勢16名のジャズバンドです。トランペットの名手菊池寿人さんを中心に2016年に結成し、これまでに18回の公演を積み重ねてきました。メンバーは全員自分のオケやバンドを持っているリーダーばかり。毎回テーマを決めて、豪華なゲストを招いて公演してきた結果、コンスタントに1000人ほどの集客が見込めるようになりました。クラシック専用ホールで聴くジャズのビッグバンドってどうなんだろうと思われるかもしれませんが、PAを工夫することで、個々の楽器の特性を捉えていて、迫力あるサウンドをお届け出来ます。奏者もプロなら、ステージスタッフもプロが集まっています。
ザ・シンフォニーホール・ビッグ・バンド のメンバー 写真提供:ザ・シンフォニーホール
そうですね。このところ、満員札止めといったコンサートも続いています。これまでのクラシックコンサートの中心層である、60歳、70歳台の方が完全に戻って来られているとは言い難いですが、代わりに若い人たちが随分増えたように思います。在阪のオーケストラも、指揮者やソリスト選びに工夫を図られていて、それが上手くハマっているようにも思います。スーパーブラスの客席の雰囲気などを見ていると、お客様がマスク姿であること以外、以前の盛り上がりが戻って来たように思います。
5月は『ブラスdeシネマ~ド派手に格好よく!』では、昨年大好評を頂いた映画「スターウォーズ」「ロッキー」「ミッション・インポッシブル」「パイレーツ・オブ・カリビアン」などに加え、新たな映画のレパートリーも織り交ぜてお届けします。スーパーブラスで聴く映画音楽。こちらのコンサートの魅力はイメージしていただけるのではないでしょうか。迫力ある演奏と、壮大なプロジェクションマッピングとの融合は、一度体験していただくと必ずハマルはずです。どうぞご期待ください。
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