【reGretGirl インタビュー】
今回は自ずと“tear=涙”っていう
ところで日頃から意識していた
L→R 十九川宗裕(Ba)、前田将司(Dr)、平部雅洋(Vo&Gu)
前作『カーテンコール』(2021年1月発表のアルバム)で失恋以外のテーマにもフォーカスするようになったreGretGirlが、さらに音楽的なレンジも拡張したアルバム『tear』を完成させた。意表を突くボトムの低いハードドライビンなアンサンブル、16ビートのポップチューンなど、一曲ごとの色が際立つ今作の背景を探ってみた。
コロナ禍を踏まえて
一歩進んだ楽曲たちができた
昨年の配信楽曲の段階でアレンジの幅が広がったと思うんですが、アルバムを作る際にビジョンは何かありましたか?
平部
アルバムを作るのって大変というか、“曲数が多いから大きなコンセプトを持ってやろう”という感じじゃなかったんですけど、今回は自ずと“tear=涙”っていうところで意図せずとも日頃から意識していたところもあったのか、うまくまとまったと思っています。
『カーテンコール』の段階で失恋に関する楽曲だけではなくなりましたが、さらにその先の2年で平部さんが感じていたこととは?
平部
『カーテンコール』はコロナ真っ只中で出したんで、その時の鬱憤を晴らすような曲が結構あったりして。初めて経験したことだったから、それに対するモヤモヤした要素があったんですけど、今回はそれを踏まえて一歩進んだ楽曲たちもできたというか。“大変なのは自分ひとりじゃないんだぜ”っていうニュアンスも含めることができたのは、自分もひとつ大人になったのかなと思いました。
最初にできた曲はどれなんですか?
平部
「best ansewr」が最初かな? 昨年は毎月のように配信リリースした中でも最初の曲なので。
この曲は16ビートのポップチューンで、アレンジの幅も広がったと思ったんですけど、その辺り十九川さんや前田さんはプレーヤーとしてどうですか?
十九川
これは平部のデモをもとにアレンジャーさんが入った曲で、自分の中にない引き出しだったんです。リズム隊がちょっと難しめだったから、僕もアレンジ直後はなかなか弾けなくて。練習もしたし、かなり自分の幅が広がった曲ですね。
前田
とっくん(十九川の愛称)の言うとおり、最初は難しかったんですけど、自分のものにできたのが嬉しいというか、今ではプレイしていて楽しい曲ではありますね。
平部さんとしては「best answer」はどんな手応えがありますか?
平部
これに関しては結構reGretGirlが得意としているところが出ていて。歌詞の内容も前作や前々作(2019年9月発表のミニアルバム『soon』)とちょっと通ずるものが結構歌われているし。後悔であったりだとか、反省が色濃く出ていて、メロディーラインも“こういうメロディーってreGretGirlの昔の曲にあったんじゃない?”みたいなものもありつつ、新しいところに辿り着いたんじゃないかっていうのは手応えとしてありますね。
アレンジがポップなので着地点が変わった印象を受けました。
平部
そうですね。アレンジを秀吉の柿澤秀吉さんにお願いしたんです。バンドマンなので3ピースロックバンドっていうものをすごく分かってくれていて、その中でできる面白さをいろいろ提案してくれましたね。そこが新しさになっているとは思います。
ただ、親しみやすい「best answer」が1曲目ではなく、意外な「ギブとテイク」が1曲目なのがミソかなと。イントロや間奏とサビのギャップがすごいです。
平部
イントロとかのロックな感じがすごい好きで、自分たち流に落とし込むのにいろいろ考えたんですけど、別にロックに寄ったりポップに寄ったりするんじゃなくて、イントロはロック、サビはポップでいいんじゃないかっていうのが着地点だったりしました。
結構ヘヴィだし、ドライヴ感もありますよね。
平部
そうですね。OasisとかRed Hot Chili Peppersみたいな雰囲気はあるかなと。あと、1曲目がドラムで始まるっていうのにもこだわりました。
この曲に限らず、今作は音がいいですね。
平部
ありがとうございます。バンドを長くやってきて、やっと音というものが自分の中で確立してきて、レコーディングを重ねることでコツを掴んでくるというか、“この場所ではこのギターの音を鳴らしておいたほうがいい”みたいなことが、なんとなく分かってきたから上達していると思います。
加えて曲の並びで伝わることもあると思いました。
平部
そうですね。7曲目「ルックバック」からの「車の中から」「サンシャワー」はもともと秋の3部作として出したので、アルバムでもここの流れだけは崩さないでおこうと。
「ルックバック」の音像が新鮮です。
平部
reGretGirl流のギターが歪んだロックはいろいろやっていたんですけど、きれいな感じというか…分かりやすく言うとスピッツみたいな。その辺はちょっと意識しましたね。クリーンなギターの音で色を奏でる感じを。
「ルックバック」は主人公が後悔していて、次の「車の中から」では相反する気持ちが浮かぶわけですけど、この2曲の流れはなかなかキツい(苦笑)。
平部
あははは。「ルックバック」の最後で《手を離すしかないのだ》と歌っているんですけど、「車の中から」の最後で“その手を強く握っていることを分かってくれ”みたいなことを歌っているというつながりは、まさにreGretGirl節じゃないかと。
「サンシャワー」の一人称である彼女は「ルックバック」における彼女目線みたいな感じがするし、お互いに思ってるのにすれ違いっていて苦しいです。
平部
そうなんですよね。今まではひたすら“ただ悲しい”を書くだけだった…例えば「サンシャワー」とかの“お互いがやさしすぎてうまくいかなかった”みたいものがreGretGirlっぽくはあると思うんですけど、書く歌詞が少し大人になったのか、““やさしい”と“気を遣う”を勘違いしていた”みたいな、一歩引いた新しいところに行ったとは思いましたね。
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