後編:高野連の呆れた老害っぷりと甲
子園の必要性
熱中症にも根性論を押し付ける
2013年7月に行われた埼玉県大会で、猛暑のため選手や応援する生徒が次々と熱中症で倒れるという事件が起こった。本来ならば謝罪と再発の防止を徹底するよう尽力するべきなのだが、高野連の幹部は「身体が慣れていないのでは」と選手を批判するような趣旨の発言をした。当たり前だが熱中症は慣れや根性で予防できる病気ではない。すべてを根性論で語ろうとする姿勢は、多くの人が疑問に思っただろう。
そもそも、わざわざ夏に甲子園を行う理由がないとの指摘もある。炎天下のなか泥まみれになりながら白球を追うという姿に、美しさを覚える感覚は既に時代遅れかもしれない。
「投げすぎ」で選手を壊す可能性も…
ニューヨーク・ヤンキースに移籍した田中将大が故障したのも、高校時代の酷使のせいにあると、アメリカメディアは見ているようだ。テキサス・レンジャースで活躍するダルビッシュ有投手も、高校球児に球数制限を設けるべきだと提案している。
しかし勝利のために死力を尽くすことを是とする高野連に、検討する動きは今のところない。球数制限を設けると有力投手を何人も擁する強豪校が有利になると、もっともな理由を述べているが、甲子園の結果と選手の将来を比較したら、どちらが大切かよく考えてほしい。
もっとも甲子園で活躍したからといってプロ野球で一流選手になれるわけでもなく、メジャーリーグからすれば甲子園で優勝したとしてもその価値は皆無だ。甲子園の知名度は日本国内のものでしかないのだ。
その他にも、軍隊のように統一された坊主頭や、試合終了時の無駄なヘッドスライディングなど、高野連の暗黙の影響を感じさせる風習も多く残っている。
いままでプロ野球選手の指導を許さず、選手の酷使を見ぬ振りする高野連。野球人気がますます低下するなかで、変わっていくことはできるのだろうか。
(文・角刈りハーブティー)
オススメ雑誌:Number(ナンバー)858号 甲子園熱球白書「真夏の絆」(文藝春秋)
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