【SHERBETS インタビュー】
映画でも小説でも光を感じさせないと
芸術としての意味がないと思う
L→R 仲田憲市(Ba)、外村公敏(Dr)、浅井健一(Vo&Gu)、福士久美子(Key&Cho)
ニューシングル「UK」は陰りを帯びつつ希望を感じさせるという、まさにSHERBETSならではの美麗な世界を堪能できる良質な3曲を収録。来年25周年を迎える長いキャリアを誇った上で、今なお進化し続けているのは流石のひと言に尽きる。そんなバンドの中枢を担う浅井健一(Vo&Gu)に最新作について語ってもらった。
メインにするつもりはなかった曲が
メインの曲になった
新しいシングルを作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
実は今回の「UK」はシングルのメインにするつもりで作っていなくて、俺の中では2曲目の「Smoothie Glider」をメインにするつもりだった。だけど、シングルのために5曲くらいレコーディングして、それを周りの人に聴いてもらったら「UK」がいいという意見がダントツに多くてさ。それで、たまにはそういう意見も尊重しようと思ったんだ。自分も「UK」は大好きな曲だし。だから、メインにするつもりはなかった曲がメインになったというのが今回のシングル。
音源を聴かせていただいて、ダブルA面、もしくはトリプルA面のように感じましたので、そのあたりの経緯は納得です。では、一曲ずつ見ていきましょう。まず、リード曲に選ばれた「UK」はいつ頃、どんなふうに作られたのでしょうか?
これは今年の7月くらいに、ふっとできました(笑)。コードとメロディーがあって、“このメロディー、カッコ良いな”と思ってリハスタに持っていって、それをみんなで合わせてみるというところから入っていった。SHERBETSはいつもそういう感じなんだよ。
最近は作り込んだデモをバンドに持っていく方が多いようですが、昔ながらのやり方をされているんですね。
そう。メロディーもほとんど決まっていない状態でリフとかコード進行を持っていって、みんなで作り上げることが多いね。俺はみんなと作ることで生まれる化学反応を期待しているから。ベースラインとかいろいろひとりで作っちゃうとさ、化学反応が少ないでしょ? 化学反応のバンドだから、SHERBETSは。「UK」もそれを活かしてかたちにした。
バンドらしい在り方と言えますね。「UK」の歌詞は《このまま飛んでたい/月の光の海で あいつと話すのさ》というトリップ感のあるものになっていますね。
シングルになると思っていないから、歌詞も何気なしに書いたんだよ(笑)。トリップ感というのは、俺はそんなつもりはないんだけど、プロモーションビデオを作ってくれるタジマックス(田島一成の愛称)という監督が“この歌詞、すごいですね”とか言っていてさ。“そんなにすごいかな?”と思って尋ねたら、ドラッグミュージックに聴こえると言うんだわ。《このまま飛んでたい》とか。俺は全然そんなつもりはないんだけど、そう受け止めているならそれでいいやと思って、何も言わない。ドラッグとかは意識していなくて、ほんと偶然なんだよね。
意識せずにこういう歌詞を書けるというのは稀有なことだと思います。「UK」は《マミー悪いけどさ このまま飛んでたい》と歌っていて、日常の中でトリップしている様子をイメージしました。
そういう場面も見えるよね。「UK」は60年代とか70年代の匂いがある曲で、当時の洋楽とかロックミュージックはドラッグがつきものだったから、そういうのを彷彿させるかもしれない。この曲はちょっと昭和の歌謡曲みたいな匂いがあるでしょ?(笑)
そう言われるとそうですが、個人的には60年代のUKという印象を…
受けた?
はい。
あとあと聴いてみると、そういう感じもすると思う。俺は60年代とか70年代あたりの歌謡曲を少し感じる。GSとかさ、ああいう匂いがあるとは思っているんだけどね。
60年代のイギリスが思い浮かぶノスタルジックな味わいやアンニュイな雰囲気を湛えた曲だと思います。でも、そんなことはないと?
いや、そんなことはどちらでもいいです。
ああいう空気感は曲を作った当初からイメージされていたのでしょうか?
いや、だんだんそうなっていった。それこそ福士さんのキーボードセンスが大きいね。合間合間にアコギのアルペジオみたいな音が鳴っているけど、あれはアコギじゃなくてキーボードなんだわ。
そうなんですか!? てっきりアコギだと思っていました。あのキーボードは絶妙ですね。
そう。そういうのが一緒に作っていく中で生まれてきて、それがバンドだと勝手に思ってるよ。
同感です。絶妙と言えば、ギターもBメロでフェイザーをかけたり、サビはコードとハイポジションのアルペジオをステレオで鳴らすなどして世界観を深めていますね。
ギターはいつもすごく大事にしている。ただ、レコーディング前に詰めに詰めてという感じではなくて、だいたいが行き当たりばったりで、そこまで音にはこだわっていないかな? 毎回同じ音なはず。
ええっ!? 音色なども“こんな感じかな?”みたいなこともなく?
うん(笑)。いつもどおりにギターはグレッチで、アンプはマーシャルで。でも、一時はやっていたんだよ。“この曲はこのギターでいこう”“この曲はこれ”みたいな感じでやっていたけど、もうやめた。ここ3~4年はグレッチ1本だね。ダビングは違うギターを使うけど。
今回の3曲はいろいろなギターを使ったような印象を受けましたので、ちょっと意外です。ちなみにマーシャルはどういうタイプでしょう?
ヘッドは60年代のオールドなんだわ。ただ、ちょっと改造してあって、裏にマスターボリュームが付いている。前の持ち主がそういう改造をしたらしくて、それをもう30年以上使っていることになるね。90年にロンドンで買ってからずっとそれだから。
アーティスト
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