L→R 仲田憲市(Ba)、外村公敏(Dr)、浅井健一(Vo&Gu)、福士久美子(Key&Cho)

L→R 仲田憲市(Ba)、外村公敏(Dr)、浅井健一(Vo&Gu)、福士久美子(Key&Cho)

【SHERBETS インタビュー】
映画でも小説でも光を感じさせないと
芸術としての意味がないと思う

みんなすごいテクニシャンではないけど

一緒にやるとミラクルが起きる

では、「UK」のヴォーカルで大事にされたことは?

歌も感覚だからな…。

ええっ! …すごすぎる。

すごいかな?

すごいです! 「UK」は歌の表情や温度感によって印象が大きく変わる曲なので、いろいろ試されたのかなと。

それはない。みんなで作っていくと、だんだん曲が分かってくるじゃん。昔は分からんかったけど、これだけ長い間やってくると、何て言うんだろう…。

落としどころが見えてくる?

落としどころというようなことは何も考えていなくて、出来上がってそれが胸にくるかこないか、それだけなんだわ。だから、“なんか違うな”と思えば歌い直すし、それでもこなかったら、その曲自体を採用しない。

ということは、歌録りをされる時は歌のディレクションをされる方などもいなくて、ご自身で仕切っているんですね?

そう。駆け出しの頃はディレクターがいたけど、それで“あぁ、こういう感じか”と思って、そこからはもうずっといないよ。25年間くらいひとりで判断している。

歌や歌詞、ギターなどに浅井さんの美意識がそのまま反映されることで、楽曲がより魅力的なものになっていることは間違いないです。さらにリズム隊のおふたりの楽曲にフィットしたしなやかなプレイも注目です。

仲田先輩はただの酔っぱらいの人はないってことだね(笑)。そういうところが好きで、一緒にやっている。ただの酔っぱらいの人さんだったら一緒にやっていないわ(笑)。

そっ、そうですね(笑)。「UK」も含めて今回の3曲は世界観を作るのが難しいと思いますが、みなさんで作って、こういういい着地ができるのであれば、確かにデモを作る必要はないですね。

逆に自分ひとりで全部を作り込むと、なんか何かがちょっと足りないんだよ。だから、SHERBETSはそこら辺がミラクルなんだわ。みんなすごいテクニシャンではないけど、4人で一緒にやるとミラクルが起きる。

指が速く動くとか、凝ったフィルが叩けるというようなこととは違う凄みを感じます。

みんな、センスがいいよね。

確かに。では、続いて2曲目の「Smoothie Glider」にいきましょう。

これはギターを弾きながら作った。だから、「UK」と同じようなやり方だよね。曲を作る時はいつもそういう感じだから。ギターを弾きながら作って、それをリハの時に持っていって、みんなでジャムる時間があってさ。だんだん“あっ、そのフレーズいいね”みたいな感じになって、とりあえずその日はそれくらいで終わる。その曲を帰って聴いて、また次の週に集まって、より固めていく…というのを繰り返していく。その中で、だんだんかたちがはっきりしてくるんだ。「Smoothie Glider」もそういう作り方だった。

「UK」と「Smoothie Glider」は4人でかたちにしていくと同じようなものになってしまう恐れがある気がしますが、違ったテイストに仕上げたのは流石だと思いました。

「UK」は100パーセント生音で、クリックも入れていないけど、「Smoothie Glider」はちょっと違うところを見せたろうと思って、ループで音を入れることにしたんだ。そういうところでも違いを感じると思う。

ギターも曲中は存在がすごくて。間奏でドォーン!と鳴るというアレンジになっていて、そこも「UK」とは違っています。それに、この曲はピアノがいい味を出していますね。

うん。あのピアノのメロディーが決め手でしょう。

自分はThe CureやDepeche Modeなども好きなのですが、この曲はちょっとそういう匂いがありますね。

The Cureとかは、うちらも大好きだから。ああいう暗い音楽…Siouxsie & the Bansheesとかね。すごくいいなと思う。

とはいえ、「UK」にしても「Smoothie Glider」にしても決して陰鬱な曲ではなく、陰りを帯びた美しい世界になっています。

俺は聴いてどんよりした気持ちになるような音楽は嫌なんだわ。一見ダークでも光がないと…と思っている。ここ15年くらいはそうじゃないと嫌で、そこはちゃんと守っているかな? 暗いまま終わるのが嫌だというのは映画でも何でもそう。映画でも小説でも、それを体験した人に光を感じさせないと芸術としての意味がないと思うんだ。暗い気持ちにさせて、そのままというのはダメだと思う。

分かります。ここ10年くらいでしょうか、本当に陰惨なまま終わってしまう映画などが増えましたね。

うん。だから、俺はそういうものには触れない。だって、いいことが何もないもん。アーティストたる者、それとは逆の方向に持っていかないとっていうのはあるね。

かといって、アッパーで、明るくて、煌びやかな曲などは…。

明るくてハッピーでノリノリな音楽も大好きだよ。でもバカみたいなのは大嫌い。ただただ暗いだけって言うのも知りたくない。自分がそこにいくことはないと思うよ。

OKMusic編集部

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