【ハコニワリリィ インタビュー】
初アルバムがここまで豪華なんて
本当に恵まれている

L→R Hanon、Kotoha

ある時は幼い子供、ある時は借金の取り立て屋、そしてまたある時は恋する学生に。HanonとKotohaによるハコニワリリィは、楽曲ごとに本当にさまざまな役柄になりきってしまう。YouTubeの『歌ってみた動画』などで経験を積んでいるとは言いつつ、どれほどの引き出しを持っているのか? そんなユニットの強みについて、記念すべきメジャー1stアルバム『Lily’s Plage』発売を機に、改めて本人たちに語ってもらった。

これまで以上にシンクロした歌声を
味わってもらえる一曲に

記念すべきメジャー1stアルバム『Lily's Plage』ですが、タイトルはどのように決まったのでしょうか?

Hanon

待望の1stアルバムなので、せっかくならばユニットを象徴する百合(=リリィ)の名前を入れたいと。そこから私たちのリスナーさんの総称であるハコ船と絡めたものにしたいとも考えて、“百合の浜辺を目指す”という全体コンセプトと“Plage”という言葉が決まりました。“Plage”には“浜辺”の他にもレコードの録音部分という意味もあるので、今回のアルバムをフィジカルリリースする意味にもしっかりかかっているんですよ。

Kotoha

新曲8曲を含む全14曲を収録したDISC1の他に、コンプリート盤のみのDISC2ではインディーズ時代の曲も14曲も聴けて。初アルバムがここまで豪華だなんて本当に恵まれていて、改めて幸せだと思います。

本インタビューではDISC1のみに焦点を絞ります。収録曲順はどのように決まったのですか?

Hanon

私たちの楽曲はジャンルが幅広いので、どうすれば印象に残るアルバムになるのか、気持ち良く通し聴きできるのかを意識して試行錯誤をしました。とはいえ、私たちにとって特に大切な楽曲は最初と最後に持ってきてね。

Kotoha

うん。ふたりで考えた曲順なんですよ。ユニットのデビュー曲「コガネゾラ」は絶対に1曲目にしたいって話していて。次に決まったのが2曲目「夏、透明な青に惹かれて。」で。このアルバム自体が海をテーマにしているし、楽曲タイトルや曲調からしてジャケットイラストにもぴったりだったから、この2曲は本当にすぐに配置が決まったよね。

では、アルバム終盤の流れは?

Kotoha

最後の曲を「きっと仲直り」と「キョリ感」のどちらにするかものすごく悩んだんです。最終的な決め手は、今年6月に開催したライヴ『ハコニワリリィ1stワンマンライブ「Lily’s Garden Party」』でフィナーレに歌ったことと、その際に感じたみなさんへの“ありがとう”の想いを閉じ込めたいと思って「きっと仲直り」を選びました。

Hanon

実はアルバムと同じでライヴの開幕曲も「コガネゾラ」だったし、まさしく当日のセットリストのままだよね。

前回のライヴに参加していた方ならピンとくる並びということですね。中盤の流れについては?

Hanon

「どげざ」「ニゲルガカチ」とお互いのソロ楽曲を並べました。とってもパンチがある楽曲なので、中盤に入っても飽きずに楽しんでもらえるかなと。そこから「泡沫の夢」で空気をいったん落ち着かせて、徐々にいつもの私たちらしい雰囲気を取り戻していくイメージです。

Kotoha

中盤は楽曲によって温度差がかなり激しいかな?(笑)

それでは新曲8曲について、まずは「夏、透明な青に惹かれて。」の第一印象は?

Hanon

この楽曲はすごく…好きだよねぇ(しみじみ)。

Kotoha

好き(笑)。今回は小さな子供になりきって、私たちふたりと幼馴染の子、全部で3人のストーリーが展開されるのですが、普段は男の子と女の子の恋愛ソングを歌うことが多いので、かなり新鮮な役柄だと思いました。大切な子との友情を描くように、歌い方もやさしく、時に囁くようなテイストにして。

Hanon

ちょっとだけ大人への反抗心も見せつつね。私たち自身もその子をめがけて気持ちを作っていったから、これまで以上にシンクロした歌声を味わってもらえる一曲になったと思います。落ちサビの《『忘れないで』》の部分とか、ふたりで息感を合わせるように意識もしたし、個人的にもすごくお気に入りです。でも、実はいなくなった幼馴染を探しに行くと歌っているのですが、この子はすでに亡くなっていて…。

それは…。

Kotoha

“あの子は引っ越しちゃったんだ”と大人たちがやさしい嘘をついてくれているんです。

それこそ、1stシングルに収録されたKotohaさんのソロ楽曲「マジェスティックラブ」でも衝撃的すぎる“裏テーマ”が飛び出したため、今回の取材でも同様の質問をしようと考えていました。こちらからお聞きするまでもなかったようですね。

Kotoha

この背景を最初に教えてもらった時、私も絶句でしたね。

Hanon

ね、本当にびっくりだったよね。でも、歌詞の内容にも納得して。

この取材の後、もう一度聴き返してみますね。続いては、今作の“推し曲”ことリード曲「世界一の友人だったあなたへ」。これから告白する覚悟がひしひしと伝わってくる、歌声のトーンを落とした一曲で。

Hanon

この楽曲はいつもと違うフォークデュオ曲として、私たちの歌唱力を届けたいなと。実は3曲目「マサキじゃないけど好き」に登場するふたりの過去のエピソードを歌っているんです。

なんと! タイトルから失恋の曲だと勘違いをしてしまいました。

Kotoha

(笑)。ちゃんとお互いが“大好き”で終われて良かったですよね。でも、確かにタイトルだけを見ると意味深だし、“そもそも恋愛ソングですらない?”と思ってしまうかも。

Hanon

なんか不穏だよね(笑)。

そんな“不穏”つながりの流れで、Kotohaさんのソロ楽曲「ハサミガール」。

Hanon

怖〜い(笑)。

Kotoha

「ハサミガール」は彼氏に振り向いてもらえない乙女を歌った楽曲で、もうヤンデレです。台詞調の部分が多いのですが、レコーディングでは何度も録り直した上で“あっ、今のすごく歌詞に合ってる!”と、珠玉のヤンデレ声を厳選していただきました。

Gomさん、メブキユウさんの共作詞曲ですが、歌詞の生々しさから作詞家自身のリアルな恋愛経験なのかと思わず勘繰ってしまいそうになります。

Kotoha

そう言えば、私が《何でだろうね何でだろうね不思議だね》の部分を歌っていたら、“今のトーンでその言葉を言われたら、絶対にビビるわ…”なんて言われて、そのテイクが即採用された場面がありました(笑)。

Hanon

私はタイトルだけを見てボカロっぽいノリの楽曲だと想像していたので、最初に耳にした時に“なんてチルな雰囲気なんだ!?”って驚かされました。ことちゃん(Kotohaの愛称)の声質をすごく活かしているし、サウンドもまたお洒落だけど、歌詞は怖〜い(笑)。

Kotohaさんの表現力、恐るべし。一方のHanonさんが歌う「NEVER LAND」は、仮にTVアニメ『灼熱のハコニワリリィ』か何かのオープニングテーマでしょうか?

Hanon

いや…って、『灼熱のハコニワリリィ』ってどんな物語ですか!(笑) でも、本当に“ザ・アニソン”な一曲に仕上がっていますよね。

Kotoha

めっちゃカッコ良いと思う!

Hanon

「NEVER LAND」は前向きなメッセージを込めた歌詞なので、いつかライヴで披露する場面を想像しながらレコーディングに挑みましたね。もともと“ザ・アニソンロック”な楽曲が好きだったので、こうしたテイストの楽曲は自分自身に照らし合わせて、素の部分を出しながら歌えたと思います。

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