【近石 涼 インタビュー】
歌いたい歌があるから、
どんどん言葉があふれ出てきた

近石 涼

昨年12月にインディーズ1stアルバム『Chameleon』を発表し、今年は自身初のワンマンライヴ、さらにツアーを実現し、アーティストとしてのスケール感をさらに増した近石 涼が、配信シングル「自分なんて捨てられれば」をリリースした。弾き語りをメインとするシンガーソングライターとしてのイメージが強い近石だが、新曲で放ったのは圧倒的な熱量とバンド感にあふれためまぐるしいギターロック! そんな彼の変化と進化を訊いた。

曲を作る時に頭の中で
鳴っているのはバンドの音

今年1月に開催されたワンマンライヴ『近石涼「Chameleon」2022』は、近石さんがホームとしている神戸VARIT.で行なわれたライヴならではのアットホームな空気と、バンドスタイルでの迫力ある熱唱が心に頃に残る本当に素敵なステージでした。エレキギターでの歌唱もカッコ良かったです。

ありがとうございます。でも、まだ慣れないところはありましたね。実はあのテレキャスターを買ったのもライヴの2週間前なんです。いくつも試奏して悩んだんですけど、あのテレキャスに出会ってひと目惚れしちゃって。予算の何倍もしましたけど、思い切って買っちゃいました(笑)。今は曲作りもエレキギターでしています。

近石さんと言えば、バンドセットでもエモーショナルにアコギで弾き語るイメージがあったので、ロックなステージングに新鮮な驚きもありました。新曲「自分なんて捨てられれば」もとてもストレートなギターロックですね。

今、僕の音楽はエレキギターを中心に回っているかもしれないです(笑)。VARIT.での手応えもあったし、3月から4月末にかけて回った『Chameleon』のリリースツアー『Chameleon Tour 2022』も大阪と神戸はバンドセットやったんですけど、僕と同い年の若いバンドメンバーに一新して。ワンマンまでのライヴはwabisabiさんとのコラボだったんですが、新しいバンドはギターが僕しかいないんですよ。だから、めちゃめちゃ練習しました。

エレキギターの比重も高まっていると。

そうですね…やっぱり僕、根本的にギターロックが好きなんです。アコギの弾き語りには、もちろんその良さがあるんですけど、聴いてきた音楽もずっとギターロックだったし、曲を作る時に頭の中で鳴っているのはバンドの音なんですね。アコギをいくらガーッと掻き鳴らしても出せない音があるので、その歯痒さはずっとありました。

近石さんのアコギでの弾き語りがどこかヒリついているのは、イメージする音像への渇望があったからかもしれないですね。

だから、今は沸々と思い描いていたことがついに実現できた喜びがあるんです。今もアコギ一本でステージに出ていく機会は多いですけど、俺がやりたかったギターロックをやっているバンドには絶対負けへんぞ!という気持ちでずっと弾き語りをしていた気がする。だから、今こそ胸を張ってできるバンドの音を作りたいと思うんです。

やはりバンドは面白いですか? 近石さんがツアー中にTwitterに上げていたバンドとの写真や映像もめちゃめちゃ楽しそうでした。

そうですね。自分が思っていた音が出来上がっていく感じも面白いし…今、僕を入れて4ピースでライヴをやっているんですけど、ドラムもベースもキーボードも自分が演奏しているわけじゃないから、いい意味で全部が思いどおりにはいかない。だからこその新しい発見もあるし、“じゃあ、こうしていこう!”っていう試行錯誤ができるのは、弾き語りにはない面白さやと思いますね。バンド経験は『Chameleon』制作中からも本格的になってきたんですが、アルバム収録曲の「兄弟 II」や「room 501」のようなポップな曲はバンドの音を想定していなければ書けなかったと思います。

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