3年ぶりの開催となった
04 Limited Sazabys主催
『YON FES 2022』のレポートが到着!
『YON FES 2022』DAY1
会場であるモリコロパークはSKY STAGE、LAND STAGEと2ステージで構成されており、物販スペースや飲食スペースも含め会場全体も例年とは異なるレイアウトながら感染対策を徹底しつつ、集まった人が安全かつ快適に過ごせるような導線、会場作りがされていたことにメンバーは勿論全てのスタッフにまずは敬意を表したい。YON FESがYON FESとして何も変わらない為に変わらないといけない。あの頃に戻るのではなく、先に進む、進めるということが、言葉で言う何倍も難しいことは安易に想像出来る。ライブが出来なくなったあの頃、少しずつ前に進む中で試行錯誤しながら行ったYON EXPO、そしてツアーと、描いては消し繰り返す手探りの先に新しい歩幅で進めた今年のYON FES。あの光景をまたモリコロパークで観れたことが溜まらなく嬉しい。
初日である4月2日にはHump Back、Track’s、SHANK、Suspended 4th、go!go!vanillas、Age Factory、Vaundy、ENTH、MAN WITH A MISSION、TOTAL FATが出演。それぞれのやり方、在り方で04 Limited Sazabysでバトンを繋ぎながら3年ぶりのYON FESを作り上げていく。快晴のモリコロパーク、初日の開幕宣言では04 Limited Sazabysのメンバーと共に愛・地球博公式キャラクターであるモリゾー、キッコロ、そしてユリイカくん、キャブくん、さらにKEYTALKのタケマサくんといったキャラクターたちがステージに登場。あれ、ひとり誰か混ざっている?そう、YON FESに出演予定のなかったKEYTALKの小野武正が急遽乱入してメンバーと観客を驚かすというサプライズも飛び出し、YON FESがスタート。
トップからギア全開で青春を歌い上げたHump Back、YON FES初登場で独自のチル&メロディックパンクを提示したTrack’s、皆勤賞の貫禄を見せつけたSHANK、同郷名古屋の音楽野生児っぷりを叩きつけたSuspended 4th、永遠のティーンエイジャーであることをロックンロールで証明したgo!go!vanillas、青空の下で轟音と激情を響かせたAge Factory、普遍的な愛のメッセージを最新の在り方で届けたVaundy、ライフスタイル直系の散らかしまくりライブで魅せたENTH、野生のオオカミの野性でモリコロパークを高く飛ばせたMAN WITH A MISSION、ゲストにKEYTALK武正も交えポジティブなパンクロックを連打したTOTALFATと、計10バンドが繋いだバトンを受け取ったのは勿論04 Limited Sazabysだ。
初日、04 Limited Sazabysが1曲目に選んだのは「Buster call」だった。この日までしばらく演奏されていなかったこの曲を久しぶりに披露したのがYON FESのステージだったこと。GENの歌い出しと共に歓喜の拳がモリコロパークに広がったあの光景を一生忘れることはないと思う。扉を開ける音、高く飛ぶための音色が響き渡る「climb」、何気ない日常の中でフィクションを作り上げたいと宣言する「kitchen」、今のフォーリミを創造する過程にあった「Now here,No where」と続き、3年ぶりのYON FESを盛り上げる。GENが「奇跡みたいな1日になった」と語っていたけど、奇跡を作り上げたのは紛れもなく04 Limited Sazabys自身で、そこに出演したバンドや集まった観客が両手を挙げてパワーを送ったことで大きなエネルギーがモリコロパークに充満していくことをビシビシ感じることが出来たんだと思う。そこに立っているだけでパワーを感じるんだから音楽と人の力は偉大だ。
「monolith」のイントロが鳴り響いた瞬間、何かが弾けて何かが大きく変わる感覚がした。その予感は本物で、このライブが終わった頃には04 Limited Sazabysが今年のYON FESをもって確実にシーンを前進させたことを参加した人は確信したことだろう。「fiction」のリフの猛攻もライブハウスシーン、フェスシーンの再建を確信させたし、ささくれた気持ちとおさらばして本質を見極めることを歌った「fade」には気付かされることが沢山あるし、そうなったらもう「Alien」でよーいドンだし、今のキーワードである先に進むことを全身で体現するかのライブに胸が熱くなる。YON FESのステージで名古屋のライブハウスの名前が連呼される「758」を聴けたこともグッときた。「My HERO」じゃないけれど、04 Limited Sazabysは名古屋のライブハウスにとってヒーローであることは間違いないだろう。東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊を迎えての「swim」の豪華さも彼らがヒーローである所以に拍車をかけていた。
そして「hello」だ。新型コロナウイルス以降、ライブハウスシーンやフェスシーンには厳しいルールが生まれた。それは安全安心の為には仕方ないことであるのは理解している。だけどルールがルールとしてある中でどう抗っていくか。この時期に何も考えていないアーティストはいないと思うけど、その一歩を踏み出すことって本当に勇気がいることだと思うし、何をするにも躊躇してしまうのも仕方ないと思っている。そこでYON FESでの「hello」だ。明言はしないが、この日の「hello」はライブハウスシーンにとって、フェスシーンにとって、大きな一歩を踏み込んだ瞬間だったと思う。新しい歩幅で進むこと。それを自ら体現したのが今年のYON FESだったと思う。「新しいものを作り出すために一度壊してまた作り直す」と語り「Buster call」を演奏した4人の姿はライブハウスを、フェスを、音楽ファンを先導する者として強烈に頭にこびり付いた。最低な世界のままで良い訳ない。この世界をもう一度愛するために何が出来るか。ラストナンバー「Terminal」を全身で浴びながらこの世界を取り戻して先に進めるために、アーティストが、僕らが、何をするべきか、何が出来るか、ずっと考えていた。アンコールでは「midnight cruising」「message」を披露してYON FES 2022は幕を下ろした。3年ぶりのYON FESで04 Limited Sazabysが提示したもの、受け取った僕らが掴みかけたもの。それはひかり、それは希望、それは声。この先何が起きたって、04 Limited Sazabysがいるから大丈夫。そうはっきりと言い切れるほど、今年のYON FESで確信したのは、彼らの周りには沢山の仲間がいて、みんながみんなそれぞれのやり方で戦いながら、YON FESの名のもとに集結し大きなパワーを生むことを実感したから。04 Limited Sazabysとみんなで作り上げたYON FES 2022。まだここから何が起きるか分からないけれど、何が起きたって大丈夫。耐えて耐えて超えて来た景色をまたモリコロパークで4人は見せてくれるだろう。彼らは知っているから。立ち上がる以外方法はないことを。
Text by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
アーティスト
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