【「パプリカ」テレビ放送記念】今か
らでも間に合う鬼才・今敏作品入門
2010年に46歳の若さで亡くなった今監督は、劇場アニメ4作、総監督を務めたテレビアニメ「妄想代理人」を残している。「パプリカ」のテレビ放送を機会に今監督の作品にふれていただきたいという思いをこめて、生前最後の映画「パプリカ」からさかのぼるかたちで全作品を振り返ってみたい。
2、ハイレベルすぎて一見そうは感じられないほど高水準の作画と美術
3、映画4作はすべて約90分以内、見る人を飽きさせないサービス精神
主人公の千葉敦子・パプリカ役を演じる林原めぐみをはじめ、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一らキャストも豪華で、中盤、あるキャラクターが精神を侵されて発狂してしまう芝居は絶品。キャラクターデザイン・作画監督は、「千と千尋の神隠し」「君の名は。」などを手がけ、2月4日に初監督の映画「鹿の王 ユナと約束の旅」を控えているアニメーターの安藤雅司を務めている。
年齢も性別も違う3人のホームレスが主人公。3人は捨てられた赤ん坊の親を探すためにクリスマスの夜を駆けまわり、奇跡の連鎖のなかでそれぞれの人生と向き合う。写真と見間違えてしまうほど精緻な背景で東京のさまざまな顔が描かれ、キャラクターの豊かな芝居も大きな見どころ。“大人のおとぎ話”とも言うべき不思議な雰囲気が漂い、アニメーションならではの魅力にみちている。
千代子役は年代にあわせて3人の女性キャストが演じ、千代子が恋をして追い求める「鍵の君」を演じた山寺宏一は、本作以降、今監督作品の常連声優となった。
黒澤明の「蜘蛛巣城」、小津安二郎作品など邦画の名作へのオマージュもあり、時空を超えてテンポよく場面が切り替わっていく編集の妙を味わうことができる。アニメファンはもちろん、邦画ファンにもぜひ見ていただきたい。
R指定でもともとはOVAを予定していた本作はハードな描写も多く、デビッド・フィンチャーの「セブン」、今監督のファンを公言するダーレン・アロノフスキーの「ブラック・スワン」のような、見る人を締めあげていくようなキレキレのサスペンスを堪能することができる。
オムニバス形式で展開される同作は連作短編集のような味わいがあり、今監督のストーリーテラーとしての幅広さが感じられるシリーズ。各話絵コンテ・演出には平尾隆之、浜崎博嗣、うつのみや理、高橋敦史、りんたろう、佐藤竜雄らが参加している。
同作に演出として参加した平尾監督(「映画大好きポンポさん」)のインタビューもあわせてご一読ください。
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