【nolala インタビュー】
新たな挑戦と成長が
もたらした手応え

L→R 美寿々(Ba&Vo)、千陽(Gu&Vo)、ひな(Dr&Cho)

京都発のツインヴォーカルバンド・nolalaが1st EP『sequence』をリリースした。新たな挑戦やメンバーそれぞれの成長が楽曲の幅の広がりにつながった意欲作について3人に語ってもらった。

一番自信のある曲を
聴いてほしかった

EP『sequence』は事務所に所属してから初めての作品ですが、作品の内容や方向性についてはスタッフと話し合ってから制作に臨んだのですか?

千陽

いえ、まったく話していないです。所属したばっかりなのに、なぜかめちゃくちゃ信頼してもらっているんですよ。私は曲を作る時にメンバーや他のバンドとか友達にデモを聴いてもらって、“これでいい?”“似ている曲はない?”と確認するくらい心配性なんです。だから、今回もマネージャーに“これでいけます?”“これ、売れます?”って訊いたんですけど、“自信を持って作ってもらったら大丈夫です”と全てこちらに任せてもらえて、それ以外のレコーディングのスケジュールとか、宣伝の面で私たちの負担にならないようにサポートしていただきました。

これまでと変わらず、今の自分たちが作りたいものを作っていったと。では、今回はどんな作品にしたいと考えたのでしょうか?

千陽

正直言って全体を通して“どんな作品にしたいか?”というイメージはなかったんですけど、あとからそれを考えてから作ったほうが楽だったなと思いました(笑)。美寿々さんが1曲、私が4曲、ふたりで5曲作ったんですけど、自分がその時に書きたいものを書こうと思ったので恋愛の曲じゃなくても良かったし、Twitterでバズった“別れた彼氏を全員、曲にするタイプです”とか、何かに縛られずに作ったことがテーマになっていたのかなと。

具体的なテーマがないぶん、何を歌うのか決めるのが難しくなったりはしませんでしたか?

千陽

曲は人生を振り返りながら“これを歌おう”“次はこれにしよう”って感じでスムーズに進んだんですけど、EPのタイトルを決めるのは大変でした。人生のことも書いているし、恋愛のことも書いているし…そう迷った時に、最初にタイトルをつけて、それに向けて曲を作ったほうが楽だったなと思ったんです。

なるほど。タイトルの“sequence”には“連続的なもの”いう意味がありますが、どんな想いを込めたのでしょうか?

千陽

もともとは美寿々さんが提案してくれたんだよね?

美寿々

うん。失恋を含め、いろいろな失敗をしたとしても、それがうまいことまとまったら、ひとつのきれいな編み物ができているというイメージで、“何かそんな言葉ないかな?”って話していました。

千陽

そこから言葉を探している時に、一番ぴったりだと思った“sequence”に落ち着きました。

ひな

最初は“生きていく”みたいな感じにしようとも話していたんですけど、私たちは人の背中を押せるほど強くないし、聴く人に寄り添うようなバンドでいたいと思って、あえてイメージを限定しない大きなタイトルにして、これまでnolalaを聴いたことがない人にも届いてほしいなと。

『sequence』のリリースに先駆け、疾走系のアンセミックなロックナンバー「生き辛い世の中だ」を9月に配信リリースしていましたね。音楽に取り組む気持ちやnolalaがどういうバンドなのか、ライヴがどういう場所なのかを改めて歌っている曲なのではないかと思うのですが。

千陽

一度辞めることを考えていたところから事務所に所属することが決まって“再出発します”と宣言したものの、ファンのみなさんを待たせっぱなしだったので、一番自信がある曲を聴いてもらいたいと思って、「生き辛い世の中だ」を先行配信しました。曲に込めた想いも強かったんですよ。恋愛の曲の場合は、今の恋愛のことを書くことは少なくて、過去のしこりになっている部分を引っ張り出して曲にしているんですけど、「生き辛い世の中だ」は自分が感じていたことに加えて、コロナ禍のことも書いていたので、コロナ禍が落ち着く前に聴いてほしかったんです。

美寿々

『2nd Single ルームメイト Release Tour 2021』を回っている時に、千陽ちゃんに“車の中に来て”と呼ばれて聴かされたのが「生き辛い世の中だ」でした。“一瞬でできた”と言っていたけどめちゃめちゃいい曲だったので衝撃でした。

《生き辛い私の居場所はきっと 音楽のあるこの場所だ》と歌っていますが、改めてそう思うきっかけになる出来事があったのでしょうか?

千陽

前回のインタビューでお話しした、事務所に所属することが決まって、また音楽を続けていくという選択をした時に改めて思いました。私がこれまでで唯一長い時間をがかけて打ち込んできたのがバンドだったんです。普段の生活では“なりたい自分”が漠然としているのに、ステージの上だとリアルに思い浮かべることができるんですよ。

そんな「生き辛い世の中だ」に続いて、3曲目の「piece of」も11月に先行配信し、MVを公開していますが、これも推し曲と考えているわけですよね?

千陽

はい。nolalaっぽい曲ではあるんですけど、新しい要素を加えることもできたし、メンバーの成長を一番感じられる曲なので。「piece of」を聴いてもらえれば、前回のリリースからステップアップしたと感じてもらえる気がします。

その新しい要素というのは?

千陽

普段使わない空間系のエフェクターで雰囲気を変えたところや、ドラムのフィルとかベースラインもこれまでのnolalaらしさを壊さずに、それぞれの技術のレベルアップを表現できていると思います。

アレンジしていった結果、そうなったのですか? それともこの曲では成長したところを見せたいと考えていた?

千陽

成長を見せるというのは意識していなかったです。これまでベースやドラムのアレンジに関しては、私が細かく指示することもあったんですけど、「piece of」は美寿々さんとひなに任せてみました。そしたら期待していた以上のものを考えてきてくれて。これまでの曲と並べた時に、いい意味で3ピースのバンドがやっているように思えないくらい、それぞれがしっかりと主張しながら、いいところを出せているんです。

成長を感じた?

千陽

そう言ったら上から目線になっちゃいますけど(笑)。ふたりのプレイを聴いた時に単純にすごいと思いました。

おっしゃるようにメリハリのあるアンサンブルが印象的なのですが、その中でもギターがコードを鳴らしている裏で、歌っているようなメロディアスなベースラインも聴きどころになっていると思いました。

美寿々

基本的に歌の邪魔をしたくないのと、自分が歌いながら弾くことを考えて、あんまりフレーズは動かずに…でも、単調にならずに、いいアクセントを加えられるちょうどいいところを意識しました。

ひなさんのドラムは2番からグッと音数が増えて、曲を盛り上げる役割を担っていますね。

ひな

この曲は裏拍を多めに入れていて、音符の数がめっちゃ多いから難しいんですけど、ドラムでもこれまでの曲とは違う変化をつけようと思ってやってみました。

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