【近石 涼 インタビュー】
何かに向かって変わっていく姿も
“ありのまま”だと思う
近石 涼
高校生の頃から本格的に音楽活動を始めた近石 涼。2014年にTOKYO FM『SCHOOL OF LOCK』主催の『閃光ライオット』コピバンステージに出演して以降、数々のオーディションで賞を獲得してきた彼が、2021年8月より配信シングルをリリースしている。11月にはアルバム『Chameleon』のリリース、2022年1月には初のワンマンライヴを控え、全力で走り出した近石 涼の挑戦心あふれる3曲について訊いた。
無意識で聴いていた音楽も
自分のルーツになっている
近石さんは今回が『music UP’s』初登場ということで、まずはプロフィールもおうかがいしたいと思います。活動形態は弾き語りやバンドから学生時代にはアカペラでも活動されていて、非常に多彩ですよね。
結果そういうことになってしまいました(笑)。もともと歌が好きでギターを弾くようになったんですけど、高校生の時に同級生から“バンドせえへん?”と誘ってもらったのが最初でしたね。バンドの映像をYouTubeにあげていたんですけど、僕のカメラで撮影していたので、バンドの活動が終わってからは自分の弾き語りをYouTubeにあげるようになりました。編集をまったくしていない撮って出しの映像で、カバーをよくあげてました。
音楽のルーツはどんな感じですか?
ギターを始めたきっかけはBUMP OF CHICKENで、初めて買ったCDはスピッツとマキシマム ザ ホルモンでした。高校生の頃はRADWIMPS、ELLEGARDEN、フジファブリック、andymoriも好きで、バンドをよく聴いていたんですけど、中学生の頃は湘南乃風とEXILEをずっと聴いていて。その頃は自分が音楽活動をすることは考えていなかったけど、今思うと歌い方の癖とか影響を受けている部分もあると思います。あと、もっと幼い頃で言えば、家でスティーヴィー・ワンダーとかのブラックミュージックがよくかかっていました。母の趣味で、郷ひろみさん、ハイファイセット、サザンオールスターズとか、無意識で聴いていた音楽も自分のルーツになっていると思います。
今年8月にリリースされた配信シングル「ライブハウスブレイバー」の印象が強かったのですが、ロックだけではなく、意外なアーティスト名がたくさん出てきますね。自分の根っこにいろんな音楽があることをどう感じていますか?
“このアーティストはこういう音楽をやっている”っていうキャッチーな部分がないのは弱みにもなるかもしれないけど、自分が聴いてきたアーティストもいろんな音楽を作っているし、僕はマイナーな曲も好きなんです。アルバムを聴いていて、“これ、どこの国の音楽?”みたいな音があったほうがワクワクするから、僕もやりたいようにやったらええんちゃうかなと思ってます。
ジャンルとして定まっていなくても、素直に自分がやりたい音楽をやっているのは近石さんの魅力ですよね。その中から何か滲み出るものがあれば、近石節がだんだん出てくると思います。歌声も本当に素敵ですし、歌い回しもさまざまだなと。
“全ての創造は模倣から始まる”じゃないですけど、特にEXILEや湘南乃風のモノマネをしまくっていたんですよ。湘南乃風はメンバー4人ですけど、全員のパートをひとりで真似しながら歌ったり、マキシマム ザ ホルモンも歌い分けるのが楽しくて。でも、音楽活動をするようになると“自分ってどこにおるんかな?”っていうのが気になるようになったんです。その気持ちは「ライブハウスブレイバー」の歌詞にも入っているんですけど、これからはモノマネじゃダメだと気づいてからは苦悩しましたね。オリジナルを歌い始めた時、BUMP OF CHICKENに似ていると言われることが多くて焦って、一時期は好きで聴いていた音楽が聴けなくなってしまったり。自分らしさを模索しながらも、まずは歌がうまくなりたいという想いも強かったので、友達が入っていたアカペラサークルに入って、ヴォイトレ感覚でアカペラを始めたんです。
そういう流れだったんですね。そのサークルでの活動はどうでした?
アカペラをやって良かったことは本当にたくさんあるんですけど、一番は地声の歌い方を学んだことですね。喉を締める感じだとアカペラでハモらないから、ひとりだけ音が浮いてしまうんですよ。サークルに入っていた4年間は、自分の歌声をいかにハモらせるか考えていました。最初は“僕が一番歌がうまい”くらいの感覚だったんですけど、いざ歌ってみたらアカペラではまったく通用しなかったのが衝撃的で。ハモりを鍛えるのもそうだし、リズム感や曲のアレンジなどを少しずつ掴んでいきました。今まで聴いてきたロックンロールと、サークルで知ったアカペラの魅力を吸収できたことは、僕のアイデンティティーになっていく気がしています。
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