矢井田瞳、
“ギターと歌”で観客を魅了した
弾き語りライブのレポートが到着!

『矢井田 瞳 弾き語りライブ TOKYO〜Guitar to Uta〜』(Photo by スエヨシリョウタ)

 矢井田瞳が7月3日(土)、東京・EX THEATER ROPPONGIで単独公演『矢井田 瞳 弾き語りライブTOKYO〜Guitar to Uta〜』を開催した。今回の公演は彼女にとって、約4年ぶりの弾き語りライブ。代表曲「My Sweet Darlin’」「Look Back Again」、最新曲「ずっとそばで見守っているよ」(井村屋『あずきバー』CMソング」)など新旧織り交ぜた楽曲を、“ギターと歌”による豊かな表現とともに披露した。

 デビュー15周年を迎えた2015年にバンドでのパフォーマンスと並行して、初の弾き語り公演『ヤイダヒトリ』を開催した矢井田 瞳。以来、全国のライブハウスを中心に、ギターやピアノの弾き語りを観客に近い距離で歌を届けてきた。さらにデビュー21年目となる今年1月からは、自身のInstagramでギター弾き語りとトークによる『おはなしとうた』、最近ではTikTokからも不定期で配信。そのシンプルなスタイルが好評を博し、本公演『Guitar to Uta』の開催に至った。

 観客の拍手に迎えられた矢井田 瞳は、アコースティックギターの素朴な音色とともに「hello hello 君に会いたかったよ」というフレーズを響かせた。オープニングは「今日のための唄」(アルバム『IT’S A NEW DAY』収録/2006年)。「だけど、こうやって六本木EX THEATERで会えた」と歌詞を変えて歌うと、さらに大きな拍手が巻き起こった。さらに「NHKみんなのうた」でオンエアされた「はだしのダイアリー」(アルバム『Sharing』収録/2020年)を披露し、最初のMC。

 「めちゃめちゃ緊張するやん、このシチュエーション(笑)。まずはお礼を言わせてください。会いに来てくれてありがとう!」「今日は“Guitar to Uta”というタイトル通り、弾き語り。みなさんそれぞれの世界を心のなかで描いてもらえるかなと思うので、ゆっくり楽しんでいただけたらなと」という言葉によって、会場の空気が和らぎ、心地よい一体感が生まれた。

 その後も、最新アルバム『Sharing』(2020年)の収録曲「かまってちゃん」から20年前のヒットチューン「Look Back Again」(シングル/2001年)まで、さまざまな時期の楽曲を演奏。そしてライブ前半でもっとも心に残ったのは、「今までいろんなタイプの曲を書いてきたけど、この曲は聴いてくれた人がいたからこそ、大きく育った曲だと思っています」と紹介された「Life's like a love song」(アルバム『Candlize』収録/2001年)だった。虚しさや愚かさを抱えながらも、「貴方の想い 歌ってゆこう/もう泣かせないよ」という言葉を手渡すこの曲は、すべての観客の心に寄り添い、美しい感動に結びついていた。「みなさん、心のなかで歌って」と「La La La…」と歌い上げる姿にも心打たれた。

 ここでステージ上手に置かれたソファに移動し、Instagramの配信ライブ「おはなしとうた」を再現。配信用のカメラとライトを用意し、スクリーンに顔を映しながら、トークと歌を披露した。当日会場で募集したリクエストから選ばれたのは、配信リリースされたばかりの新曲「ずっとそばで見守っているよ」。井村屋『あずきバー』CMソングとして書き下ろされたこの曲は、フォーキーな手触りのメロディ、「強い自分になろうとしている 君を 信じているから」というフレーズが一つになったミディアムチューン。手拍子しながら、じっくりと歌に聴き入るオーディエンスの様子も印象的だった。さらにリクエスト1位だった「モノクロレター」(シングル/2004年)を歌った後、矢井田 瞳の豊かな音楽世界をじっくり味わえるコーナーへ。

 鋭利なギターストロークとともにダークな心象風景を映し出す「37.0℃」(アルバム『IT’S A NEW DAY』収録)、大らかな解放感に溢れたメロディ、「いつの日か 誰かを照らせるように」という願いを込めた歌詞が一つになった「MOON」(アルバム『TIME CLIP』収録/2016年)。繊細な感情表現と心地いいダイナミズムを共存させた歌はもちろん、歌詞のメッセージと多彩なボーカルを際立たせるギターの演奏も素晴らしい。

 「会いたいときに会いたい人に会えないというのは、いつの時代も苦しいですよね。私もそんな経験があります」という言葉に導かれたバラードナンバー「Over The Distance」(シングル/2001年)から、ライブは後半へ。本編ラストは「My Sweet Darlin’」(シングル/2000年)。「心のなかで!」という呼びかけによって、この日、もっとも大きな手拍子が巻き起こり、会場全体に気持ちいい熱気が広がる。リリースから20年以上経ってさらに輝きを増す、この曲の普遍的なパワーをしっかりと感じ取ることができた。

 鳴り止まない拍手に呼び戻され、再びステージに立った矢井田 瞳は、「今日という日を迎えることができて、本当に嬉しく思ってます。ありがとうございます!」と感謝の気持ちを改めて口にした。そして「体の健康も大事だけど、心の健康も大事。少しでも前向きに、希望の光を感じていてほしいと思います。私はどんな時代でも、音楽にしか果たせない役割があると信じて、届けていきます」という言葉とともに「あなたのSTORY」(シングル/2020年)を披露。さらに「安心してね 道は長い/ゆっくり行こうよ」と語りかける「手と涙」(アルバム『Candlize』収録)を大らかに歌い、ライブはエンディングを迎えた。「どうもありがとう!また会おうね!明日からも頑張れよー!」と呼びかける彼女の笑顔は、すべての観客の心に強く刻まれたはずだ。

 公演のタイトル通り、“ギターと歌”による最もシンプルで奥深いステージを繰り広げた矢井田 瞳。8月15日には大阪野外音楽堂で「矢井田 瞳 夏の元気祭り2021 OSAKA野音〜Yaiko to Band〜」の開催も決定している。メンバーは西川進(G)、FIRE(Ba)、水野雅昭(Dr)。今回の弾き語りライブから一転、高い熱量に溢れたバンド・ライブにも大いに期待したい。

Text by 森 朋之
Photo by スエヨシリョウタ

<セットリスト>
『矢井田 瞳 弾き語りライブ TOKYO〜Guitar to Uta〜』
2021年7月3日(土) at EX THEATER ROPPONGI
1.今日のための唄
2.はだしのダイアリー 
3.虹のドライブ
4.会いたい人
5.かまってちゃん。
6.Look Back Again 
7.Life's like a love song
8.ずっとそばで見守っているよ *リクエスト曲 / 井村屋『あずきバー』CMソング
9.モノクロレター *リクエスト曲
10.37.0℃
11.MOON
12.未完成のメロディ 
13.Over The Distance 
14.It's Time
15.My Sweet Darlin’ 
EN1.あなたのSTORY 
EN2.手と涙

【ライブ情報】

『矢井田瞳 夏の元気祭り2021 OSAKA野音〜Yaiko to Band〜』
8月15日(日) 大阪・大阪城音楽堂
開場15:15/開演16:00
バンドメンバー:西川 進(Gu)、FIRE(Ba)、水野雅昭(Dr)
主催:FM802
企画/制作:cs music/Tombstone 
後援:FM COCOLO
お問合せ:キョードーインフォメーション
0570-200-888(日曜・祝日を除く11:00-16:00)
https://kyodo-osaka.co.jp
詳しくは、
矢井田瞳オフィシャルHP:https://yaiko.jp/

<チケット>
指定席:7,700円(税込)
・PG先行受付:7月1日(木)10:00以降、随時受付開始
・一般発売:7月24日(土)10:00〜
チケットぴあ・ローソンチケット・イープラスにて一斉発売開始

アルバム『Days of FM802 2000-2013』 2021年7月28日(水)発売

  • 【初回生産限定盤】(2CD+デモカセットテープ)
    AOZORA-0728/¥8,150(税込)
    封入特典:矢井田瞳×FM802コラボバンパーステッカー、フォトブック、特製コースター
    ※こちらの作品はタワーレコードの大阪地域限定3店舗&タワーレコードオンライン限定リリースとなります
    <収録曲>
    ■Disc1
    01. I like
    02. I'm here saying nothing
    03. キャンドル
    (2001年10月28日 京都文化博物館 HITOMI YAIDA Acoustyle)
    04. B'coz I Love You
    05. My Sweet Darlin'
    (2002年7月21日 万国博記念公園 MEET THE WORLD BEAT 2002)
    06. Creamed potatoes
    07. マーブル色の日
    08. Buzzstyle
    (2005年7月24日 万国博記念公園 MEET THE WORLD BEAT 2005)
    09. マワルソラ
    (2005年10月23日 タワーレコード梅田NU茶屋町店OPENING EVENT)
    10. Ring my bell
    11. i really want understand you
    12. How
    13. Not Still Over
    (2005年10月30日 京都文化祭典05' 「京の華舞台」 平安神宮幻夜コンサート)
    <Bonus Track>
    14. ラブレター ※THE BLUE HEARTSのカバー
    (2013年5月30日 フェスティバルホール SongLetters -Handing over the Hope-)
    ■Disc2
    01. How (TD済)
    02. I Like (仮唄)
    03. We’ll be (TD済)
    ■カセットテープ
    01. How (TD済)
    02. I Like (仮唄)
    03. We’ll be (TD済)

    【先行予約特典】
    矢井田瞳×FM802×TOWER RECORDS コラボマグネット
    (予約締切日:6月20日(日)23:59受付分まで)
    販売店舗:
    タワーレコードオンライン:https://tower.jp/item/5185594
    タワーレコード梅田大阪マルビル店(問)06-6343-4551
    タワーレコード梅田NU茶屋町店(問)06-6373-2951 
    タワーレコード難波店(問)06-6645-5521

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