【PLASTICZOOMS インタビュー】
ポップを交えたロック、
ニューウェイヴで
世界中に行くというのが目標です

L→R  Shota Kanbayashi(Dr)、Jun Yokoe(Ba&Synth)、coHzy(Gu)、Sho Asakawa(Vo)

音楽とファッションを“表現”として同列に置きながら、可能性をボーダレスに追求し続けているPLASTICZOOMS。多彩なサウンドを鳴り響かせている5thアルバム『WAVE ELEVATION』について、Sho Asakawa(Vo)、Jun Yokoe(Ba&Synth)に語ってもらった。

ファッションと音楽の距離に
ずっと違和感があった

2009年から活動しているんですね。

Sho

はい。僕はもともとハードコアパンク、ノイズコア、70’sパンクとかの日本のシーンで動いていたんですけど、尊敬しているプロデューサーに出会って、音楽を真剣に勉強するようになったんですね。当時は服飾の学校に通っていたんですけど、日本の音楽シーンはファッションと音楽との間に距離がすごくあるのを感じて。だから、ファッションと音楽との間に距離がない活動を自分でやりたくなって立ち上げたのがPLASTICZOOMSです。1stシングルの7インチをラフトレードが扱ってくれたんですけど、その頃ちょうどThe HorrorsとかNEiLS CHiLDRENがロンドンで盛り上がっていて、そういうシーンの波に同時代的に乗ることができて。それでいろんな国のラジオ局やクラブで曲をかけてもらったことによって、さまざまなことが起こっていったんです。カジヒデキさんが僕らのことを見つけてくれて、MySpaceに連絡が来て“デビューしちゃいなよ”っていうことにもなりましたから。

ルーツのパンクに関しては、メロコアは通ってなさそうですね。

Sho

そうなんです。周りの同世代が聴いているものとは別のところに意識があったというか。AIR JAM世代ですけど、古い音楽ばかりを聴いていましたね。仲間がそういう人間ばかりだったので。いろいろ掘り下げていって、Joy DivisionやPILのレコードを冒険買いしたり。でも最初は全然聴けなくて(笑)。ある時、シンディ・ローパー、a-ha、Wham!とかニューウェイヴがベースのポップスにハマって、そこからNew Orderを経て、Joy DivisionやPILとかもちゃんと聴くようになったんですよね。

なるほど。Junさんはどのような経緯でPLASTICZOOMSのメンバーになったんですか?

Jun

僕はShoくんとは別に地元でバンドをやっていて、そこを辞めることにした時にShoくんから“メンバーが抜けるから試してみない?”って言われたんです。聴かせてもらった曲がものすごくカッコ良くて、“ぜひやりたい!”と。当時はニューウェイヴは分からないし、パンクもUKのものはあんまり詳しくないっていう感じだったんですけど。

Sho

どっちかと言うとUSだったよね?

Jun

うん。僕の地元はミクスチャーとかメタルの先輩が多かったので。でも、Shoくんから音楽やファッションのこととかをたくさん教えてもらいました。

Sho

徐々にハマっていく感じが面白くて(笑)。僕は逆にグランジとか、90年代の音楽がすっぽり抜けていたので、そこらへんのことを教えてもらいました。そうやっていろんなものを積み上げていって、やっとふたりの音楽歴史の認識、文化背景の知識が並んだのが今回のアルバムな気がします。

先ほど“日本はファッションと音楽との間に距離がある”っておっしゃっていましたけど、それを自然なかたちでリンクさせながら活動してきたバンドでもありますよね?

Sho

そうですね。ファッションと音楽との間の距離に、ずっと違和感があったんです。例えば、僕がSex Pistolsにハマるきっかけになったのは、服からなんですよ。ヴィヴィアン・ウエストウッド、セディショナリーズとか。昔、『Boon』っていうファッション誌の白黒ページにピストルズとかを撮っていたカメラマンのデニス・モリス記事が載っていて、ジョニー・ロットンがガーゼシャツを着ているのを見てハマったんです。だから、音じゃなくてファッションが先だったんですよね。

PLASTICZOOMSにとっても、ファッション、映像とかも“表現”という点で音楽と同列ということですよね?

Sho

そうです。例えばグッズをファッションブランドとのコラボレーションでリリースしたりもしています。音楽がベースにあるデザインのものを表に出しつつ音を鳴らすっていう同時進行が、意味のあることだと思っていて。それこそデザイナーさんは音楽が好きな人なのに、自分ではやっていない人が多いと思うんですけど、僕の場合は“どっちもできるんならやっちゃおう”っていうノリですかね。今はCDが売れない時代だし、この先はメジャーとインディーズの差がさらになくなっていくのかなと。そういう中で自分たちがやれることを増やしていって、マネージメントとしてバンドがあるっていうのが、これからの音楽業界、自分たちの音楽人生にとって重要だと思っています。何でも屋さんじゃないですけど、関心があるのはもともと音楽だけじゃないので。文化背景とか、その音楽が鳴っていた頃の時代の情勢とかにも興味があるんですよ。

音楽ってさまざまな文化とリンクして成り立っていますからね。

Sho

そうなんです。あと、今のコロナ禍もおそらく歴史的なことで、ここから1、2年でいろんなことが大きく変化すると思うし、そこで重要なのは“任せる”っていうことじゃなくて“自立”だと。作品とかかわってくれる人と向き合って輪を作っていくことに重点を置きたいんです。だから、“レーベルを立ち上げよう”っていうことになって、その一発目が今回のアルバムです。

自分たちで舵取りをする大変さも当然あるはずですけど、物事を決めて進める速度は大幅に上がったんじゃないですか?

Jun

それはものすごく感じます。明日決めたいことの返事が週明けだったり、主導権がバンド側になくなることが今まではありましたから(笑)。

Sho

そういう点はものすごく楽になりました。

レーベルって音楽作品を出すだけじゃなくて、他の何かを世に送り出すっていうのも本来は自然なことのはずなんですよね。例えば、マンチェスターのファクトリー・レコードの最初の作品はポスターだったわけですし。

Sho

そういうのがいいですよね。そのセンスには強く影響を受けています。僕らはPROJECT DIE KÜSSEっていうプロジェクトもやっていて、音源だけじゃなくて、服、アクセサリー、靴とかも出しているんです。僕らはタワーレコードで靴を売った初めてのバンドらしいですよ(笑)。

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