【高槻かなこ インタビュー】
私のアニソンが好き
という気持ちが伝われば嬉しい
高槻かなこ
昨年10月にシングル「Anti world」で待望のソロアーティストデビューを果たした高槻かなこの新作はアニソンカバーシングル「King of Anison EP1」。「Anti world」のバラードカバーをはじめ、NHK『カードキャプターさくら』オープニングテーマの「プラチナ」やTVアニメ『東京喰種トーキョーグール』OPテーマの「unravel」という3曲を収録し、彼女のアニソン愛とリスペクトの気持ちが込められた聴き応えのある一作となっている。
リスペクトの気持ちが見える
歌にしなければいけない
今回はアニソンカバー作品なのですが、もともとアニソンカフェでバイトをしていて、そこでアニソンを歌っていたんですよね。
はい。毎日アニソンを歌っていました。その当時から、もしも自分がアーティストとしてデビューできたらアニソンカバーの作品を作りたいと思っていて、昨年のアーティストデビューが決まった時、“アニソンをカバーした作品を出したいです!”とお話をさせていただいていました。中川翔子さんがオリジナル曲とは別にアニソンカバーアルバム『しょこたん☆かばー』シリーズをリリースされているような感じで、私の中ではそういうイメージを持っていました。3曲入りEPというかたちになったのは、出したいと思った時に自分の旬を逃さずお届けできると思ったからなんです。
ゆくゆくはそれらをまとめてアルバムにしたりも?
アルバムもそうですし、カバーライヴもやりたいですね。もともと今回の企画は2019年にマイナビBLITZ赤坂で開催したアニソンカバーライヴ(『高槻かなこ 1st Cover Live ~King of Anison~』)から始まっています。“King”とつけたのも私の愛称が“たかつキング”ということと、“王道のアニソンを選んだライヴにしよう”という意図があってなので、今回のアニソンカバーシリーズでも毎回何かしらの王道を選んでいくことがテーマのひとつです。今回で言えば「プラチナ」は、まさしく王道アニソンですよね。
しかも、今作では高槻さんのソロデビュー曲「Anti world」を早くもセルフカバーしているという。
早速です(笑)。「Anti world」はアニメ『100万の命の上に俺は立っている』OPテーマなので、自分の曲でもアニソンであれば、アレンジを変えて定期的に収録していこうと思っています。
原曲は激しいロックナンバーでしたが、バラードになってもカッコ良さが変わらないと思いました。
ありがとうございます。もともとバラードよりアツい曲のほうが好きというのもありますし、バラードを歌うことに対して勝手な苦手意識を持っていたんです。それに「Anti world」はアッパーのロックに合う韻の踏み方で歌詞を書いたので、バラードになると発音の仕方を丁寧にするなど大変だろうなと思っていました。なので、キーチェックで歌った時もスタッフさんに“大丈夫ですか?”と恐る恐る訊いたんですけど、“全然大丈夫だよ”と言っていただけたので安心しました。自分で聴いてもハマっていると思いましたし、バラードもいいなって思えたのは、今回の大きな収穫のひとつですね。
2曲目の「プラチナ」はスタッフさんの推薦だったそうですね。
そうなんです。「プラチナ」はNHK『カードキャプターさくら』のオープニングテーマで、イベントなどお客さんの前で歌ったことはないのですが、プライベートのカラオケでは定番で、今もよく歌う大好きな曲なんです。カラオケで誰かにリクエストしてもらえるとすごく嬉しくて、今回もスタッフさんから歌ってほしいと言っていただけてすごく燃えました(笑)。
オリジナルは1999年に坂本真綾さんが歌ったもので、それよりもアツく明るい高槻さんらしいカバーになりましたね。
自分では特に癖をつけたつもりはなかったんですけど、自由に歌うと自然に癖が出て、何を歌っても“高槻かなこ節”になってしまうんです(笑)。もともとのアレンジはきれいでシンプルですけど、私のカバーではガールズバンドっぽいアレンジになっているので、その影響もあると思いますね。
編曲はAqoursやAZALEAなどの楽曲も手がけている宮崎 誠さんなので、高槻さんにとってはお馴染みのアレンジャーさんですね。
それもあってか、アレンジを聴いた瞬間に自分が歌っている姿がパッと目に浮かびました。それほど自分のパッションと合っているアレンジなんだと思います。
高槻かなことしての「プラチナ」を歌おうという意識もありました?
真似をしようという意識はもちろん、自分らしく歌おうという意識さえもありませんでした。歌詞を読んで歌って、魂から自然に出るものを大事にしたかったんです。だから、何も考えずに音を感じたら、自然とああいうグルーブになったというか。どの曲も歌っている時はとにかく楽しくて! 特に「プラチナ」はあとから歌っている時の映像を観たら、自分でも本当に楽しそうな表情をしているなと思ったほどです。
とはいえ、アニソンカフェのバイトで歌っていた時とも違う気持ちですよね。
そこは違いますね。楽しさは自然にあふれてしまいますが、プロのアーティストとして歌うとなると責任感が伴ってきますから。バイト時代のようにただ楽しいだけではダメで、曲の意図を汲み取り、それを私は器として伝えることが大事なことなんじゃないかと思っています。原曲のファンの方に認められるものにするためには、リスペクトの気持ちが乗った歌にしなければいけないですからね。そのためには“ここはこういう気持ちだから語尾を止めよう”とか“ここは伸ばそう”とかの組み立てを繊細に行なって、いかに歌い手として伝えられるようにするかを考えました。そういう意味では、今回どんな反応をいただけるのかが楽しみであり、怖くもありますね。私のアニソンが好きという気持ちが伝われば嬉しいです。
ちなみに『カードキャプターさくら』の時は幼稚園とか?
幼稚園か小学校低学年で、当時はさくらちゃんに猛烈に憧れていました。“私もローラースケートで登校したい”って(笑)。
でも、大人になって改めてアニメを観ると印象が変わったりするのでは?
当時はキャラクターの見た目の可愛さばかりが目に入っていましたけど、しっかり物語の中身を追っていくと、心が痛くなる部分もあればほっこりする部分もあるんですよね。大人になると、さくらちゃんの成長を見守るような目線になります。あと、歌詞も今回改めて読んだら、大人になっても失わない少女の心を歌っている曲だったんだと、以前は気づけなかったことにも気づけました。
高槻さんの色褪せないアニソンへの思いの結晶という意味で、今作はまさしく“プラチナ”ですね。
はい!(笑)
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本気で歌っている表情を撮ってほしかったアーティスト
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