アーティスト視点で語る、サブスクが
DLより嬉しい理由

皆さんこんにちは。音楽プロデューサーで作曲家の
です。ご無沙汰しています。
8月7日(金)にアルバム『VOYAGER』をリリースしました!Apple Musicではオルタナティブ、エレクトロニックジャンルでバナー展開もいただき、非常に良いスタートを切ることができました。
かなり事前に僕自身のnoteを中心に制作日記などの告知をしてきましたが、改めてリリースするとなって問い合わせをいただく際に、音楽業界以外の方からよく質問をいただくのがこれ。
どこで買えるんですか?
そうですよね、音楽=買うもの、そう考えていただけている大事な大事なリスナーの方々、今もたくさんいらっしゃいますよね。
ありがとうございます。それ、とても嬉しい限りです。音楽家へのそのリスペクトを充分に保っていただきつつ、今日は改めて、現代的な音楽の聴き方「サブスク」と呼ばれるものについてお伝えしたいと思います。

サブスクとは?

おそらく日々、僕のnoteを読んでくださっている方々には説明不要かもしれませんが、簡単に言えば「月額決まったお金を配信者に払い、聴き放題のサービス」です。僕たちはそこで聴かれた再生回数によって毎月売上が決まる、という仕組みです。
ここに出ているものが、正規の音楽ストリーミングサービスです。定額を納めてもらうことで世界中のアーティストの楽曲が聴き放題なので、見知らぬ新たな音楽に出会うチャンスもあり、僕も愛用しています。
Apple Musicは

サブスクとDL、どっちの方が嬉しいのか

結論;僕はサブスクの方が嬉しい!
あくまで現時点(2020年9月現在)の回答にはなりますが、はっきりいうと、特定のアーティストをコアに何度もリピートして聴く方は是非、サブスクで音楽を聴いていただきたいです!そのアーティストを応援したいと思っているなら、尚更!
サービス利用者数などによってその数値は今後変動していきますが、先ほどお伝えしたように、サブスクは1再生あたりにアーティストにお金が入る仕組みになっています。仮に1再生1円の収入(正式には原盤収入)があったとして、DLで1曲255円で購入することを考えたら、1曲を255回以上聴くようなヘビーユーザーの方々には、サブスクで聴いてもらえた方が僕らアーティストのことを応援してくれていることになるんです。

図にするとわかりやすいのですが、CDやダウンロードなどの「音源購買」が必要な販促活動の場合、購入して初めてフル音源試聴が可能になります。つまり、マーケティングしていく上で「音源を購入するためにプロモーションをする」という設計が必要=認知以外のプロモーション施策が必要になっていました。いわゆる、店頭施策など広告業界的にいうとBTL(Below The Line)的な発想が必要でした。
その点、サブスクでの楽曲プロモーションは、認知を取れれば遷移先のリンクで再生ボタンを押しさえすれば音楽を聴いてもらうことが可能。もちろん遷移先での再生離脱はあるかもしれませんが、「音源購入」よりも手軽に再生してもらえるし、それが一定の秒数を越えれば僕らの売上になるんです。
ということは、商品として音楽を購入してもらうより効率的に、「楽曲を知ってもらうこと」「話題に上がること」にプロモーションコストの比重を置くことができる。SNSなどを通じてアーティスト自身が知恵や影響力を駆使すれば、一躍時の人になれるチャンスがあるんです。その点こそが、サブスクが普及することによる、プロモーション活動自体の民主化なんです。
僕がバイラルチャートの仕組みを駆使して2年前に無名状態から多くの方々に楽曲を届けることができたのも、まさにこの仕組みを駆使したから。今、音楽家にとって楽曲を聴いてもらうために必要なのは必ずしもレーベルパワーによる販路開拓力ではなく、
(1)ネット上で多くの流入経路を持っているか
(2)自社、自身のSNSだけでなくメディアなど周囲が話題にしているか
(3)それらにより、皆さんの契約している配信サイトで聴きたいか
の3点がより重要なのです!

サブスクでアーティストが喜ぶ聴き方

先ほどの図を再掲しますね。

ストリーミングで重要になるのは、いかに
・SNSや記事から認知してもらえるか
・興味を引くメッセージを作れるか
の2点が主になります。実はこれ、リスナーである皆さんの協力がかなり重要になるんです。以下、その理由とそれによりどうなるかを説明します。
(1)SNSでの皆さんの言葉がPRワードになる
皆さん、新聞や書籍の帯にコメントがついているのを見たことありますよね。「書評」と呼ばれるものです。これ、なんで書いてもらうかというと、購入する上で有識者の方からのお勧めがあると買う動機になるから。
従来のマーケティングにおいてはその「声」元が有識者や権力者の方のお墨付きが重要だった印象がありますが、現代のモノの消費や購入、行動意向を支えているのは、「顔も名前も知らない誰かの声」だと僕は思います。
もちろん、今でも有名人の方や影響力ある方のおすすめは再生回数を増やすために有効だと思います。けれど、結局それはオーソライズされたメディアから発するモノではなく、有名人の方々「個人の一意見」だから、信じられるのだと僕はおもう。そういう意味で、一つのおすすめの重さに、有名無名なんて、全く関係ないんです。いいと思えば、是非声を挙げてもらいたい。
僕らアーティストは、その声を見つけられたら、すぐに僕らのフォロワーの皆さんへRT・シェアします。それは「僕の曲を聴いてください!」よりはるかに、再生意向が高い「おすすめ」へと繋がるのです。
なので、是非僕の楽曲を日々聴いてくださっていて、この記事に感銘を受けてくださった方は、下記のリンクを「コメント付きで」シェアしていただきたいです。ここまで手の内を明かすと、もはや後ろめたさとかないな。応援してください、お願いだから(笑)
リリース後:アルバムに対する素直な感想
が、めちゃくちゃ嬉しいです。
(2)予約・再生状況を、配信サイト側は数字でチェックしている
再三の紹介になりますが、僕が無名状態でSpotifyのバイラルチャート1位を達成できた背景には、その仕組みを理解し、それに向けてかなり熱心なプッシュを自分で行い、影響力ある友人たちが協力してくれたことが存在する。
バイラルチャートの仕組みは、
・SNSでの流入数をSpotifyがカウント
・独自のアルゴリズムで集計し、日単位でランキング化
というものでした。(今も同じかは定かでない)
Spotifyに限らず、Appleでもある程度SNS上でシェアされたり、RTが多くなってきた音源はすぐに「注目トラック」にて紹介されるようになります。つまりどの配信サイトも「SNSからどれだけ流入したか」をチェックしているかが、容易に想像できます。
さらに言えば、これはあくまで推測の範囲を超えませんが、配信サイトだけでなく、アグリゲーター(音源を預かり配信してくれる会社やサービス)側でも再生リンクへの流入が確認できるので、リリース前後のプッシュに繋がりやすい可能性は十分にあります。
故に事前事後のリンクシェアと、それに対する期待度の醸成はアーティストに直接的にチャンスをもたらし得るのです。アルバムリリースを前に、熱心にリンクを共有している理由、おわかりいただけたでしょうか?
(3)数より、コメントの質の方がアーティストは直接喜べる
結局、アーティストは往々にして、純粋に自分たちがやりたい音楽を追求している人が多いと思う。特にインディの人たちは尚更。
そうなったときに、楽曲に対する素直なコメントって、どんなものであれ楽曲がファンの皆さんに届いたことを強く示してくれると思うんです。それは、コロナでライブができず、熱狂ぶりを直に味わえない今だからこそ。
僕は、ネットやSNSと呼ばれる世界でだって、
人間対人間の血の通った付き合いって
絶対にできると信じています。
僕の楽曲はSpotifyにて、全世界で累計100万人以上の方に聴いていただいています。ただ、100万人が聴いたと数字で示してもらえても、そこまで楽曲への熱狂ぶりは伝わってこないんです。でも、1人のファンの方が「齊藤さんの音楽に救われています。」と伝えてくれるだけで、制作や音楽活動自体に挫けそうなとき、こっちが救ってもらえるんです。
僕は皆さんへの血の通った言葉を大切にしていきたいし、皆さんからのそんな言葉を素直に受け止め、力に変え続けられる人間でありたいと心から思います。そう皆さんに勇気を出して伝え始めて以来、なんだか自分の音楽活動が開けてきた実感があります。僕は、その感覚を信じて音楽を作りたい。

サブスクだからこその音楽試聴のこれから

僕の楽曲をまとめたディスコグラフィをご覧ください。
僕らにとっては、今作は壮大な世界への挑戦です。同時に、僕らが素直な気持ちで想いを持って、僕らにできることを全力でやったことに対するトライアンドエラーを、記事やnoteに残していくことは全ての音楽関係者にとっての布石になると信じます。2年前にプレイリストに関する記事が多くのインディアーティストの皆さんのお役に立てたようですし、今回も身を以てその成果をシェアしていきます。
応援、是非よろしくお願いします!


KOTARO SAITO プロフィール



作曲家、音楽プロデューサー。
中学3年間をインドで過ごし、独学でピアノと作曲を習得。
慶應義塾大学を経て博報堂に新卒入社。
5年で独立しCM・舞台・ショー音楽制作を開始。
2018年「秒の間」「Brainstorm」がSpotify 日本バイラルトップ50で1位,2位にランクイン。これまでの累計再生回数は300万回に到達。
文才を発揮したnoteが高い注目を浴び、リミックスも手がける。



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