indigo la End、10年を飾るライブ。
無観客ならではの特別な夜
いま音楽業界では「無観客であること」がライブの当たり前となりつつある。そのような時代にあって、本公演は「無観客だからできること」にこだわり抜いて演出されていた。本記事では、18曲・94分、彼らの楽曲とおなじ名が冠された特別なライブの様子をレポートする。
Photography_Takuya Nagamine
Text_Chihiro Yuuki
Edit_Miwo Tsuji
「ラララ歌わせて」
画面のなかで映像が動き出す。女性が「ナツヨノマジック」とラベルの貼られたビデオテープを再生する。
カメラの映像が会場付近の中空からステージへと近づくと、遠くからギターの音色が聞こえてきた。最初に演奏された曲は、『夜汽車は走る』だった。
この日のライブは、メンバーに2人のサポートを加えた6人体制。無観客であることを逆手に取り、それぞれが円を描いて並んでいる。ギター・長田カーティスのソロに先導されて、すべての楽器の音が耳へと届き、約15秒のイントロのあと、カメラはボーカル・川谷絵音の姿を捉えた。
そのあと、1曲目の余韻を振り切るように演奏された『想いきり』、インプロヴィゼーション的なイントロが印象的だった『はにかんでしまった夏』、どこか『夜汽車は走る』とつながる世界を持つ『瞳に映らない』、とロック色の強いナンバーが続いた。
そして、5曲目に演奏されたのは、『見せかけのラブソング』だ。
夏の儚さを告げるシンセのリードから、爽やかなバンドアンサンブルが弾ける。川谷絵音の向こうには、会場の周りを囲む緑の風景がひろがっていた。
再び、映像が挟み込まれる。
「この日々が命」「雨が悩んで私を避けていくわ」「愛されたまんまで終わりたいよ」
軽やかなギターのフレーズとともに始まった『鐘泣く命』、切ないリリックが淡いブルーの情景を際立たせる『雫に恋して』、何気ない日常を飾らない言葉で切り取った『煙恋』。中心にあるのは美しいメロディラインと、それを引き立てるコーラスワークだ。9曲目『抱きしめて』の余韻に浸っていると再度映像が流れ出した。
映像に見入っているうちに、映像はライブ会場へと戻り、カウントが鳴り響く。
10曲目に演奏されたのは『通り恋』。しっとりとしたアレンジを通り抜ける川谷絵音の伸びやかな声。ゴールドのライトが照らし出すステージの上で、少しずつその声が感情を帯びていく。
indigo la End、10年を飾るライブ。無観客ならではの特別な夜はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
アーティスト
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