【Bearwear インタビュー】
時代に対する悲観を
体感したからこそ、
“今そういう状況なんだよ”と
共有したかった
L→R Kou(Music&Arrange&Ba)、Kazma(Lyric&Vo)
2016年にTwitterで出会ったKazma(Lyric&Vo)とKou(Music&Arrange&Ba)のふたりを中心に結成された東京インディーエモバンド、Bearwear。彼らが前作ミニアルバム『DREAMING IN.』から約1年半振りとなる2ndミニアルバム『:LIVING. IN THE ECHO CHAMBER』をリリースした。前作発表後、SNSを通じて世の中の悲観を体感したからこそ生まれたという今作の想いをふたりに訊いた。
SNSでのネガティブなムードを
乗り越える自分自身のマインドを
込めた作品
ふたり体制でバンド活動を行なっていますが、何か理由があるのですか?
Kazma
もともと僕らはTwitterで出会ったんですけど、活動に向けてバンドのメンバーをどう集めようかという話になった時に、お互いが好きなバンドマンをライヴメンバーとして連れてくることにしたんです。信頼でき、実力を持っているプレーヤーはみんな自分のバンドがすでにあったので、それぞれのバンド活動を優先してもらいながらBearwearのライヴ演奏をしてもらうシステムにしたことで、今のメインメンバーがふたりという編成に落ち着きました。今のところふたり体制には情報共有の速さやモチベーションの足並みを揃えやすかったり、メリットばかりを感じています。
そんなおふたりが影響を受けているアーティストはいますか?
Kazma
僕はもともと海外と国内のポップパンク、ハードコアシーンが好きでライヴハウスに通い始めました。Bearwearを始めてからは下北沢周辺のインディーロックシーンでもたくさんライヴをやらせてもらってますが、僕のバンド活動の芯には未だにポップパンク文化周辺の影響が根付いている気がします。Pennywiseなどから海外のメロコアにハマり、最近ではオーストラリアのTrophy Eyesが同じピンヴォーカルとしてリスペクトしています。
Kou
僕もKazmaと似ていて、初めてバンドに触れた高校生の頃はハードコアやラウドロックにハマっていましたね。その後、大学生時代に一度音楽から距離を置いていたのですが、自分のアイデンティティーを代弁してくれるような音楽を探した時期があり、ハードコア由来のミュージシャンがクリエイティブに表現方法を変化させた90年代のUSエモとその派生シーンに出会いました。特にAmerican Footballやtoeは今の自分の音楽性の礎になっています。
Kazma
僕らふたりの共通としては、バンド結成当初に来日公演を観たTurnoverの影響がとても強いです。彼らのようなもともとポップパンクやハードコア畑出身で、年齢を重ねてインディーサウンドに移行したバンドを見てきたことで、僕らもインディーサウンドに足を踏み込む意識を持てたと思ってます。最近はThe 1975がロックバンドの希望すぎて、毎日ふたりでよく話してますね。
今作は前作『DREAMING IN.』から約1年半振りのリリースとなりました。すでにSNS等で作品についての想いを公表されていますが、改めて作品に込めた想いを教えてください。
Kou
前作のリリース後、個人的に憂鬱な期間と自分の周りや特にSNSでのネガティブなムードが被った時期がありました。それを乗り越えるためにポジティブでいようとした僕のマインドを作品に込めています。
どのような点でネガティブになり、何がきっかけでポジティブマインドが生まれたのでしょうか?
Kou
ネガティブになった理由のひとつは、前作を作り終えたあとに感じた達成感以上に自分の生活を更新できなかったこと。あとは、SNS上での過激なポストの多発や、炎上、心ないリプライから始まり、現実の世界でも自分と近しい人以外の立場や気持ちを考えることを忘れてしまった今の世の中への悲観です。このムードの影響力は強大で、自分自身もその渦に巻き込まれてネガティブになっていたことに最初は気付きませんでした。これを自覚したタイミングで、ものの見方や視点を変えることに努めたんです。
今作は“ECHO CHAMBER(エコーチャンバー)現象”という言葉がタイトルに入っています。なぜ社会問題であるエコーチャンバー現象をテーマとして選んだのでしょうか?
Kou
エコーチャンバー現象とは“閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことによって、特定の信念が増幅または強化される状況の比喩”で、まさに今のSNSのように自分と同意見の人だけが周りに集まり、違う立場にいる人とは分断されている状況のことを言います。インターネットが自分のアクセスできる世界を広げているように感じるのは幻想で、実際にはどんどん凝り固まり、狭い世界に生きてしまう構造になっているんです。僕らは本当に運のいいことに、いろいろなシーンの人とライヴをやらせてもらったり、音楽以外でも映像家、メディアの人、ライヴハウスで会う友達、全然違う立場の人と会う機会が多くて。そういう場でコミュニケーションを取れば取るほど、いろいろな考え方や好みがあることを実感して、このタイトルをつけました。この作品ではそれが良いか悪いかと言うよりは、“今そういう状況なんだよ”っていうことをみんなと共有したくてコロンをつけています。
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第4回 『モヤモヤの正体を。』 -
2015.03.20 00:00