宝塚歌劇雪組トップスター・望海風斗
主演で、ギャング映画の傑作を世界で
初めてミュージカル化した『ONCE UP
ON A TIME IN AMERICA』

宝塚歌劇雪組公演のミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』が1月1日(水・祝)、兵庫県・宝塚大劇場で開幕した。
■ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』Based on the motion picture Once Upon a Time in America (courtesy of New Regency Productions, Inc.) and the novel The Hoods written by Harry Grey.<脚本・演出/小池修一郎>
●1984年の傑作映画を世界で初めてミュージカル化
同作は、1984年に公開されたセルジオ・レオーネ監督、ロバート・デ・ニーロ主演のギャング映画を、世界で初めてミュージカル化したもの。
ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
1922年、ニューヨーク。貧困街で暮らすユダヤ系移民の二世、ヌードルスは、自分たちを敵対視するギャングとの抗争の末、相手を殺害してしまう。ヌードルスの服役中、仲間のマックスはクラブのオーナーとして暗黒街の若き顔役に君臨。また、少年時代の初恋相手・デボラは、ブロードウェイのミュージカルスターになっていた。変貌を遂げるアメリカ社会を背景に、ギャングとして成り上がっていく者たちの友情、絆、そして恋愛模様をノスタルジックな情感で描き上げていく。
●雪組トップスター・望海風斗が表現する人生の悲哀
ヌードルスの少年期、青年期、壮年期の3つ時期を演じたのは、確かな実力を備えた雪組トップスター・望海風斗。厳しい時代を生き抜いた仲間たちのことを想いながらも、非情な運命に翻弄されていく姿を熱演。ヌードルスが味わう人生の悲哀を望海がどのように体現しているか、注目だ。
ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
デボラ役には雪組トップ娘役、真彩希帆。かつてはヌードルスと希望あふれる未来図を心に描いていたデボラ。しかしブロードウェイのスターとして成功を収めたことから、気持ちが複雑に変化。その胸中を、真彩が情感豊かに演じている。
また、彩風咲奈がヌードルスと友であり敵のような存在にもなるマックス、彩凪翔が時代とともに立場が変わる全米運送業者組合委員長・ジミー、朝美絢はマックスの愛人でもある酒場の歌姫・キャロルをそれぞれ個性的に扮している。
●激動のアメリカ社会を力強く描き出す
ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
傑作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のミュージカル化に挑んだのは、小池修一郎。禁酒法の網をかいくぐってギャングたちが密造・密輸の酒で大儲けしていたもぐり酒場「スピークイージー」、1929年の「ウォール街大暴落」など激動の時代を力強く活写。一方で、ヌードルスとデボラの気持ちがすれ違う場面など繊細な演出の数々も見応えがある。
雪組の勢いを実感させるダンスも必見。望海、真彩の息のあった踊りなど、濃密な表現が次々と展開していく。
ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』は2月3日(月)まで宝塚大劇場にて、東京宝塚劇場では2月21日(金)から3月22日(日)まで開催される。
ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン