劇団壱劇屋、オールスタンディングで
観る新作『空間スペース3D』を神戸で
上演

舞台と客席を区切らない場で展開する、多次元が舞台の群像パフォーマンス
大阪・枚方を拠点に、アーティスティックな作品から直球のコメディまで、様々な舞台を提供し続けている「劇団壱劇屋」。近年は竹村晋太朗作・演出の「WORDLESS殺陣芝居」路線の作品が続いていたが、今回はマイム俳優の顔も持つ主宰・大熊隆太郎の3年ぶりの新作『空間スペース3D』を発表。しかも舞台と客席の境目を完全になくした、オールスタンディング形式での上演に挑戦する。
神戸の公立ホール「神戸アートビレッジセンター(KAVC)」が、今イチ押しの関西の劇団を紹介する企画「KAVC FLAG COMPANY 2019-2020」の参加劇団に選ばれた壱劇屋。客席を取り払った、フルフラット形式での上演が可能なKAVCホールの特性を活かすことを、本作の一番大きなコンセプトにしたという。
大熊隆太郎作・演出作品の、劇団壱劇屋『新しい生活の提案』(2017年再演)。 【撮影】河西沙織
そうして生まれた『空間スペース3D』は「“空間”という、目に見えているのに見えない存在を可視化する」パフォーマンス。二次元に行ってしまった妻を探す三次元の夫、一次元で動く点Pを止めようとする受験生、すべての空間をゴミ処理場にしようとする建設業者など、様々な次元の中にいる人々の物語を通して、観客もその時空の歪みに巻き込まれていく……という世界をイメージしているそうだ。
この公演に向けて、大熊からは以下のようなメッセージが届いた。
どんな時でも我々は三次元の世界にいます。流れる時間は一定で、引力からも逃れることはできません。そんな世界のなかで劇場という空間はやや特別で、作りだされた疑似空間の中では、四次元以上の高次元を認識することができますし、時の流れや引力も変化します。
普段はそれを舞台と客席で分断してますが、今回は一歩こちら側に近付いてご覧ください。あなたの隣で俳優が演技し、あなたを囲んで歌が始まり、あなたの頭上でパントマイムが行われる、空間スペース3Dの内部へいらしてください。
物語の登場人物と観客が、同じ空間に同時に存在することができる、演劇という表現の強みを最大限に生かしたこの公演。不条理かつユーモラスなナイトメア風の世界を、パントマイムやダンスの技を駆使して表現する大熊のスタイルを、まさに演者の汗や息吹を感じられる距離で見られるというのも、一つの大きな楽しみだろう。オールスタンディングのライブやアトラクションに近いけど、それとはまた異なる驚きや迫力を感じられるはずの空間へと、ぜひ怖がらずに飛び込んで欲しい。
『空間スペース3D』PV(第二弾)

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