【清春 ライヴレポート】
『The Birthday』
2019年10月30日
at マイナビBLITZ赤坂
2019年10月30日 at マイナビBLITZ赤坂
長く続けられた秘訣は、「星座の夜」の歌詞《今は願ってる 自然でありたい》ではないが、自然体で活動に臨める場所を求め続けてきたからであって、その果てに今回の『The Birthday』のようなライヴステージがあるのではないかと推測する。この日に限った話ではないけれど、ここ数年の清春の歌はとても伸び伸びとしているように感じている。極めて良い意味でエゴイスティックに歌っているように思えるのである。まさしく《自己陶酔》(「LAW'S」)であり、それが見聴きしているこちら側も心地良く感じられるのだ。それは、端的に言って、バックを務めるサポートメンバー──中村佳嗣(Gu)、大橋英之(Gu)、YUTARO(Ba)、FUYU(Dr))との相性の良さが相当に大きいような気がする。中村を除いて、10歳以上年が離れている。そこが良いのだと思う。みんな、確かなテクニックを持っているミュージシャンでありながら、しっかりと清春への敬意を全面に出すことができているのであろう。中村だけは清春と同年代だが、寡黙で職人気質のギタリストである。そのギタープレイにおいて変な自己主張がないにもかかわらず、この人にしか弾けないフレーズをサラッと弾いている(ように見える)タイプではある。現在の清春を取り巻く座組は、清春が気持ち良く歌うスタンスが確実にあることは間違いないし、その状況を創り上げてきたのは他ならぬ清春本人である。
一方で、これもまた推測ではあるが、安定、安寧の場所に留まらず、ピリリとした緊張感を欲するのは、アーティストとして当然のことではあろう。その点では、アンコールでゲストにSUGIZOがサプライズ登場したのもまた納得できるものであった。氏曰く“永遠のライバルで、永遠の親友”同士。清春は赤いスーツで、SUGIZOは黒づくめと、並んだだけでも画になるふたりだ。「VOICE feat.清春」のイントロを鳴らしただけでSUGIZOの存在感が前面に出て来るし、明らかに場の空気は一変。T-REXのカバー「20th Century Boy」では、確実にこのふたりにしかできない独特のグラムロックを披露した。オーディエンスもその世界観に心酔していたが、清春、SUGIZOも満足していたことは両名の表情からもうかがえた。MCで清春は“あと5年くらいは続けていこう思う”というようなことを言っていたと思うが、この日のような安定とサプライズ、言い換えれば緊張と緩和をライヴステージで持ち得るのであれば、あと10年超は充分にやれると思う。それを確信させられた清春51回目の生誕日であった。
撮影:森 好弘・青木カズロー/取材:帆苅智之
アーティスト
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