【阿部真央 ライヴレポート】
『阿部真央弾き語りらいぶ2019』
2019年11月8日 at TSUTAYA O-EAST

2019年11月8日 at TSUTAYA O-EAST

 阿部真央の根幹/礎のみでステージに立つ『弾き語りらいぶ2019』。けれども鋭角的というよりは、“ゆるりと自由に楽しんでください”と始まりの言葉通り、リラックスムードの中、とてもハッピーなムードが広がっていた。こんな構成のツアーは最初で最後なのではないかと思わされた選曲も含め、刺激的で楽しさ満載のライヴ――11月8日の TSUTAYA O-EASTでの模様をお届けする。

 たまらなく愛おしいひと時だった。喜びと切なさの波が交錯し、融合し、幸福な情景に満ちあふれていた。愛器を奏でながら豊かな表現で弾き語り、時にはチューニングをしながらオーディエンスと軽妙なやり取りを。本人曰く“原点回帰”とのことだが、肩に力が入ったものではなく、今につながる原点を解放して、より見晴らしいのいい場所で鳴り響かせているようなステージだった。

 10周年イヤーの一環にあるライヴとあって、初期の楽曲にフォーカスを当てたスペシャルな構成だったが、あくまでも“進化の現在進行形”におけるパフォーマンスだから、回顧に寄り掛かるようなところは一切ない。そして、伸びやかで艶に磨きが掛かった張りのある歌声にキャリアの重みを超えた余裕も感じさせる、「ロンリー」「ふりぃ」と続くオープニングの2曲から深みを増しているエバーグリーンな音楽世界を提示。そう、色褪せないだけでなく、より深く濃くなっている声と言葉と音色を――。

 1stアルバム『ふりぃ』にも収録された上京前の数少なかったオリジナル曲を全曲立て続けに披露したり、過去のツアーでは歌ったことがないという「逢いに行く」も解禁。構築が変化に富む「マージナルマン」をセレクトしていたことも進化&深化するエバーグリーンの体現と感じられた。そんな声色とアコギだけで五感の全てを楽しませれくれた、シンプルなのに多彩な時空間。なんとも素晴らしく魅力的だった。

撮影:笹森健一/取材:竹内美保



セットリスト

  1. 1. ロンリー
  2. 2. ふりぃ
  3. 3. 逢いに行く
  4. 4. デッドライン
  5. 5. マージナルマン
  6. 6. 貴方の恋人になりたいのです
  7. 7. キレイな唄
  8. 8. 人見知りの唄~共感してもらえたら嬉しいって話です~
  9. 9. MY BABY
  10. 10. コトバ
  11. 11. この愛は救われない
  12. 12. morning
  13. 13. どうしますか、あなたなら
  14. 14. モットー。
  15. 15. I wanna see you
  16. <ENCORE>
  17. 1. 27歳の私と出がらし男
  18. 2. ストーカーの唄〜3丁目、貴方の家〜
  19. 3. 母の唄

阿部真央

アベマオ:1990年1月24日生まれ、大分県出身。06年、高校2年生の時に『YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL』の全国大会で奨励賞を受賞。09年1月にアルバム『ふりぃ』でデビュー。感情的なアコギで押し出す、等身大でリアルな歌詞、表現力豊かなヴォーカル、バラエティーに富んだ楽曲、同世代の女性を中心に、幅広い層から注目と共感を集める。14年10月にデビュー5周年を記念して初の日本武道館公演を開催。16年5月、産休明け第一弾シングル「Don’t let me down」で完全復活を果たし、デビュー10周年となる19年1月にはベストアルバム『阿部真央ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演を成功させた。

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